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2008.03.23

「スルース」

日本での宣伝では、男の嫉妬という見方を取り上げているけれど、観た感じはそれとは違う。そもそも"SLEUTH"は"探偵"とか"刑事"などの意味。この映画は、知性と胆力と見栄を競い、相手に自分の優越を認めさせようとする二人の男の闘いと結末を、演劇的な手法で描いたものだ。以下ネタバレ。


舞台は、功成り名遂げた金持ちの作家の豪邸内部に限定される。その内装は、生活臭を排除し、様々な隠し部屋やエレベータ、照明装置、防犯システムなどを備えた、つくりものめいた代物で、まさに「舞台」と言う言葉がしっくりくる。

登場人物は、人生に倦んだかのような老境の作家と、その妻を寝取った失業中の若い役者。互いに、相手に屈辱を与えることで自らのアイデンティティを保とうと、演技に満ちたやりとりを展開する。

とはいえ、言葉だけの応酬はすぐに膠着状態に落ち、拳銃の出番となる。直接的な暴力の提示はやはり効果的で、第一幕は老作家の完勝に終わる。

第二幕以降は、いくらネタバレを断っていても、書くわけにはいかない。

ひとつだけ書いておくと、二人の闘いは、作家の妻を取り合うことからはじまったにも関わらず、第三幕から驚くべき変貌を遂げ、最後には、この問題案件を引き受けざるを得なくなった側の、重苦しい思いで終わるように見える。

そう感じさせる、二人の男優の演技、女を最後まで登場させずにしかしその横暴さ加減を遺憾なく表現した終盤の映像表現など、たいへん満足感の残る一本でした。

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