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2008.03.08

「バンテージ・ポイント」

こんな凄い映画、滅多に無い。もし年に3本しか映画を観ないのなら、2本までは自分の趣味で選んでよいが、最後の1本は必ずこれを観るべし。以下ネタバレなので、読まずに観た方がよいです。


複数人の視点で同時並行的に描かれるお話しというのは、小説では少なくないけれど、映画でそれを破綻なく見せるものはそう多くはないだろう。大抵は、一応正義の側の主人公の視点に重ねて筋を描いていくのが普通だ。

この映画はしかし、大統領狙撃という極大点を焦点にして、立場も考え方も異なる8人の視点から、それぞれの行動を同じ程度の重みで描いている。しかも、事件に2層構造を与えて、まず一層目を見せ、しばらくの間月並みに緊張と興奮を高めた上で、途中から驚くべき2層目を見せ、いやがうえにも興奮を盛り上げる。いわば、二本分の映画を見せられたような満腹感。

この2層の構造を縦に貫く8つの視点が、それぞれに絡み合いながらお話しが展開して、観る側はぼんやりしている暇が無いほど頭を働かせることになる。これも楽しみのひとつ。もちろん、あくまでもお話しだから、説明不足も多々あるけれど、十分納得できる範囲。

むしろ、説明的な台詞とか不自然な述懐などを徹底して排除したことで、映像に迫真の緊迫感が生まれている。個々の登場人物の自然な発話と行動だけで話しを構成していくので、作り物感で緩む余地が無い。

そして、複数の視点を担う8人各様の行動が、テロという今日的課題に対するそれぞれの無言の主張を表していることに気づいたとき、この映画は最高潮に達し、絶対に観るべき映画となる。

映画の最も映画らしい手法を見せてくれる、今年の最も凄い作品にノミネートできる一本でした。

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