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2008.02.02

「アメリカン・ギャングスター」

対立する立場にある異端児二人の主人公の、地味だがひたむきな生き方が、かっこいい。R15をクリアしていれば誰にでもお勧めできる作品。以下ネタバレ。

 

一方は、犯罪の街で生まれ育ってそれ以外を知らないたたきあげ。一方は、警察の悪しき慣行に染まらず孤立を深める変人。しかし二人には共通点がある。それは、ひたむきさ、誠実さ、正直さ、行動力、どれも美質として賞賛されるべきものだ。

映画は、この二人のそれぞれの孤独、仲間、家族、悩みなどを並行して描きながら、決して交わらせずに終盤まで魅せる。

ギャングと言う響きが醸すいかがわしさは抑え目にして描かず、むしろ、ビジネスというものに共通の、アイデア、行動、提携、組織拡大などを描く。扱っている商品は非合法だし、手法は時に過激だが、言葉の正しい意味で、ひたむきに仕事に邁進するビジネスマンを描いている。騙しあいに明け暮れる金融ハイテク業界などを見ているより、よほど為になると言ったら言いすぎか。
犯罪映画の、それも犯罪者側にかっこよさを感じさせるというのは反則かもしれないが、デンゼル・ワシントン演じる黒人ギャングの勤勉さと成功の過程を見れば、納得がいくはずだ。
一方、ラッセル・クロウ演じる異端の刑事のほうは、一見、刑事もの映画にありがちなはぐれ刑事に見えるが、仕事の傍ら夜学で法律の勉強をしながら弁護士の資格を取ってしまうあたりが、普通ではない。悪い友人との付き合いもあるし、結婚生活には失敗しているのだが、素朴で頑固な遵法精神が、押し付けでなくちらりと見えるのが味わいだ。

この異端児二人が、最後の最後に向かい合って、取引をする場面がある。ここで刑事がギャングをどう呼ぶか、それがこの映画の頂点だろう。ギャングは、彼を最も正しく評価する同類に、取調室で初めて向き合うのだ。

こうして、異端児たちの、互いを認めた友情によって、悪徳の都市ニューヨークは多少浄化される。罪を問われたギャングの減刑に至る流れも思わぬ伏線があり、粋を感じさせてよい。

何より、これが実話というから驚きだ。ベトナム戦争という特殊な背景があったとはいえ、これぞ米国というダイナミズムと独特の価値観を感じさせる。

褒めて褒めすぎということはない、まことにかっこいい作品でした。

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