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2008.01.30

「スウィーニー・トッド」

見たことはないが、オペラミュージカルというのはひとつの様式なのだろう。台詞を歌にのせることで、情感を表現しようとする。俳優が普通に話す演劇や映画に比べて様式化の度合いが強いためか、見ようによっては平坦な感じもする。歌唱の巧みさも関係するとは思うけど。

この作品では、その平坦な感じがかえってよかったかもしれない。お話しの内容そのものはかなり凄惨なので、まともに映像にしてしまったら18禁どころか上映禁止になりかねない。長調が主体の歌曲にのせることで、一応ぎりぎり一般向けに仕上がった。
ジョニー・デップは、こうした凄惨さと陽気さ、あるいはコミカルな感じとの混淆を上手く捌ける役者さんだから、これははまり役といえる。以下ネタバレ。

権力者にひどい目にあわされた理髪師の復讐譚なのだけど、復讐の最初にして最大のチャンスを逸して気がふれたと見えて、そのあとは見境いなく殺しまくる。その気分の転換がやや不可解だが、どんな職業の奴を殺すか、窓から街を眺めながら二人でいろいろ謳い上げている場面などは社会風刺の味もあって笑える。

途中までは、案外このままなしくずしに小さな幸福に落ち着いてしまうのかと思わせるのが作り手側の手だ。ひょんなことから再び訪れる復讐のチャンス。しかしそれが破滅の切っ掛けになる。

物語の終わりに向けて、最後は玉突きのように全てが崩壊していくことになるのだが、その加速感と絶望感がたいへんよい。まったく救いのない結末だが、同じ猟奇事件を描いた「セブン」のようなトラウマになりそうな後味の悪さは感じられない。この辺りは、俳優と監督の資質が何か作用しているのかもしれない。

恐ろしい話しを相応の結末で締めくくることで、一応、悪の破滅という安堵感で平衡させた、それなりの作品でした。

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