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2007.08.05

「プロヴァンスの贈りもの」

なごむ。予想どおりだけどなかなかいい展開と結末。大筋で似たようなお話しは数多くあると思うけど、それぞれ少しづつ違う味わいがあるのは、同じワインでもそれぞれのテロワールがあるようなものか。以下ネタバレ。

 

やり手のトレーダーであり、一見典型的な現代人に見えるこの映画の主人公は、実は、プロヴァンスの空気を体一杯に吸って育った原風景を持っている。人生に金儲け以外の楽しみが山ほどあることを教えてくれた育ての親である叔父がいる。特定の土地を相棒として一生を送るワイン職人がいる。そして、言葉は持たないが穏やかに、しかし断固として存在を主張している土地そのものと、その化身のような女性がいる。主人公は、忙しい都市の日常に紛れて、ただ一時的に彼らの存在を忘れているだけだ。

叔父の死をきっかけに、残された農園を処分するために戻った彼は、徐々にそれらを思い出していき、最後に、都市での暮らしを続けることをとるか、農村での暮らしを取るか、選ぶことになる。

都市で生まれ育った人であれば、農村での暮らしをとった彼の生き方に、全面的に賛成というわけにもいかない。人にはそれぞれの生い立ちや事情があるのだから。主人公の親友は言う。「必ず倦怠が訪れることになる」と。それこそが、都市の人間が一番恐れていることだろう。
農村で育った人は、そこでの暮らしのディテールを知っているだろうから、果たしてそうした倦怠が必然なのかどうかわかるのかもしれない。私にはよくわからない。

例えば「モモ」に出てくる灰色の時間どろぼうは、たいへん印象が悪いけれど、それも都市の人間の生き方のひとつであって、そうして一生を終わる人も少なくないと思うのだ。
 

さて、それはそれとして、この映画はフランス政府観光局が後押ししているみたいだけど、日本政府もこれくらいのことやらないかな。

確か、しばらく前にどこかのニュースで、南フランスの農家の経営難が一般化しているような話しがあったと思うけど、そういうときに政府にできることは、必ずしも補助金ばらまきばかりじゃないということを、この映画は教えてくれる。

もっとも、ハリウッドの力を借りて、というところが、フランス人には癪に障るところかもしれないけれど(笑)。

 

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