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2007.07.01

「ブリッジ」

他人が死にたがることについて、人は余計なことは言えないものだ、ということがわかった。それは、よいことだった。という意味でこれは見る値打ちのある映画だ。以下ネタバレ。

 

この映画にでてくるのは、コトに及んだ複数の人の周囲の知人たちだ。彼らは自殺者本人と無関係ではないから、事件によって様々に影響を受けている。そのことについて彼らが語るのを、カメラは静かに撮り続ける。他人のことがわかったつもりになって学説などにあてはめて説明しようとする専門家とか、限られた時間や紙数に綺麗に収めようとして物語を作ってしまう似非ジャーナリズムとか、統計情報を見て安心と忘却に走ろうとする私たち自身は、ここにはいない。

私が特に印象を受けた考え方がひとつある。

自殺者の友人の中に、こう言う人がいた。「自分は知り合いが自殺したことによってダメージを受けた。そんなことは二度とさせない。見過ごしたのは自分のミスだった。」

なんて正直なんだろうと私は思った。当人について思うこともいろいろあっただろうけど、それは中心にはない。真ん中にいるのは必ず「自分」だ。発想は常にそこから始まる。

他にもいろいろな気持ちが語られていて、観る人によって感じ方は異なると思うので、これがこ映画の肝というつもりはない。私には、この映画には泣ける部分は一切ないと思うのだが、実際には観客からすすり泣きなどが聞こえたりしていたから、別の感じ方をする人もいるのだろう。
しかし、人が自ら死ににいくことについて、ファンタジーを排して考えると、この、一人の事件関係者の一見自己中心的に見える考えは、事件の周囲の人間にとっては強い拠り所になると思う。

俺の寝覚めが悪くなるからおかしなことはやめてくれ。

自殺大国と呼ばれる社会に住んでいて、これからますますその傾向が強まりそうな時代に生きているのだから、ただ泣くより前に、当事者の心構えを多少は学んでおいても罰は当たるまい。

 

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