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2007.06.09

「サン・ジャックへの道」

ロードムービー、と言っていいのかどうか。歩くのです。1500KMを。

”サン・ジャック”は”サンティアゴ”のフランス語読み。そのサンティアゴは”聖ヤコブ”のことらしい。十二使徒のひとりであるこの人の墓が見つかった場所なのだとか。
オフィシャルサイトにはそんなことが書いてある。

その聖地への巡礼の旅を描いたのが、この映画。途中の風景が日本とは違った美しさがあって癒される。人間模様もそれなりにあって退屈しない。時々挿入される抽象芸術みたいな映像は、ほどほどに楽しめる。
一期目の日本上映で見逃して残念だったのだけど、ここで見られて満足。以下ネタバレ。
 

特徴的だと感じたことが二つ。

ひとつは、風景がなだらかということ。峻険な山は出てこない。
本当かどうか知らないが、フランスというところはほとんど平らで、なだらかな丘があるくらいだと聞いたことがあるけど、まさにそんな感じ。

GoogleEarthで見ると、出発地のル・ピュイというところは山がちだけど、あとはなるほど平らのようだ。ピレネーはまた別として。

途中出てくる畑などの風景が、雄大というかおおらかというか。日本で見慣れている箱庭のように入り組んだ様子とは全く違う。北海道に似ているけどもっとなだらかで日差しがずっと強い感じ。
さすが欧州一の農業国。この癒し感だけで結構満足できる。
 

もうひとつは、価値観の違い。このお話しはそもそも、亡くなった母の遺言でその遺産を手に入れるために、仲の悪い3人の兄弟姉妹が一緒に巡礼の旅をすることから始まるのだけど、遺産を手に入れるために何週間も仕事を休んで旅をするという、その感覚に気圧される。日本ではあり得ない。

さらに、兄弟のうちの長期失業者である弟の考え方と、それに対する周囲の感じ方。この弟は、何かというとアルコールに頼る上に、他人にたかることを何とも思っていない。ところが、それを周囲はさほど抵抗なく受け入れている。そういうことは、多少非難されるべきだけれど、さほど恥ずかしいことでもない、とでも言うかのように。これも、日本では考えにくいセンスだろう。

ところが、牧歌的な風景の中をまるで遠足のようにお喋りしたり喧嘩したりしながら歩き続ける彼らを観ているうちに、そういうのも悪くないな、と思えてくる。
 


映画ではもちろん、旅の面々が浮世に抱えている諸事情を、それぞれに気に病んだり、折り合ったり、訣別したり、助け合ったりしながら、お互いが馴染んでいく過程が描かれているのだけど、その背景に、雄大な風景と心情の二つともがあって、とてもおおらかな感じがする、心地よい一本でした。

 

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