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2007.06.16

「あるスキャンダルの覚書」

華やかなケイト・ブランシェット演じる女教師シーバが主役のように見えて、実はいつも不機嫌そうなもう一人の年老いた女教師バーバラ(ジュディ・デンチ)が主役。年寄り女一人暮らしの孤独、歪んだ性癖、妄想、狡猾さ、そうしたものを、シーバという鏡に映して間接的に、しかしリアルに描いた怖いお話し。とはいえ、終わり方のおかげで破滅的なものを感じさせず、だらだら続きそうなゆるさもある。その微妙な着地点が絶妙で、意外に対象の観客層は広いかもしれない。以下ネタバレ。

 

支配欲というものに私はとんと縁がないのだけど、他人をコントロールしたい気持ちは普遍的なものなのだろうか。この映画の、中年過ぎて老境に入りつつあるバーバラの支配欲は、同僚の無防備な若い女性に向けられたささやかなものだけど、それだけに焦点が絞られて妙にリアリティがあり、ぞっとする。世界征服みたいな微笑ましいファンタジーがまるで無い。その割りに小さな妄想などはあったりして、リアリティがいや増す仕掛け。

シーバの家族の天然ともいえる開けっぴろげ感とかぬるさなど、およそリアリティから遠いだけに、ジュディ・デンチ演じるこの老女のリアルさ、切迫感が、妙に胸に迫ってくる。年老いるとはこういういことでもあるのかなあ、と、ただ想像するしかないのだけど。

どちらの女優さんもたいへんよい演技。主役はジュディ・デンチの方と言いつつ、実は相方がケイト・ブランシェットのような曲者であることで、この映画はだいぶ救われていると思う。シーバの最後のシーンは、この女優さんならでは。ある意味犠牲者でもある女教師の一皮剥けた感じがしっかり醸し出されていて、ぎりぎりのところでゆるさが確保されている。

ストーカー映画のようで評価がしづらいかもしれないけど、私は観て損はないと思いました。

 

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