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2007.04.01

「鉄人28号 白昼の残月」

♪~あーるときは正義の味方
   あーるときは悪魔の手先
   いいも悪いもリモコン次第~♪
っていうどうも危なっかしいシロモノ、それが鉄人。
今回は「白昼の残月」ですよ。うーむ。時代劇のにほいがする。

もう昭和レトロ。なにせ「復員兵」ですから。武器は「軍刀」ですから。決してばかにしているわけではないのだけど、ついていけない部分も多少あったのは否定できない。私は鉄人の初アニメよりは少し後の世代だからなあ。以下短いけどネタバレ。

 

戦争の傷跡、戦後日本が失ったもの、というのがお話しの背骨。それは今でも隠れた形でどこかに在るのだろうけど、私にはそこまで見えていない。

言えることは、戦争の翳を背負った兄正太郎は、私には少しナイーブに見えたということ。
彼は、復興していく日本を見て、こんな日本は嫌いだという。こんなもののために戦ったのじゃないと言う。戦争映画でよく聞くせりふだ。しかしこれはおかしい。

世の中が自分の理想どおりにいかないなんてことは、多様な人間の存在を認める立場からは当然に思えるのだけど、彼にとってはそうではないらしい。というか、それが我慢がならないらしい。

たぶん、兄正太郎は、何か普遍的な人間像が共有されている、という幻想を共有できていた時代の人なのだろう。だから、こういう世の中が正しいはずだ、という思い込みがある。それと現実が異なることで強いストレスを覚えて、時にはドラマが生まれたりする。

そういうことかもしれない。

私が子どもの頃には、確かにそういう気分の残渣はあったと思う。しかし残念ながら、今やそういうものは過去のものだ。というより、捨ててきたものだ。

理想というものは必要なのだけど、それはそれとして、現実にはもう少し違う接し方をしたほうがよい、ということなのだ。今読んでいるある本から言葉を借りるなら、「理想主義的プラグマティズム」とでも言うか。

兄正太郎は、それが身についていない。「こんな日本は嫌い」なので廃墟にしてしまえ、と冷えた心の底で思っている。そんな純で危なっかしい人間に、もちろん鉄人を任せられるはずもない。少年正太郎の判断は正しかった。

 

屁理屈はそれくらいにして、鉄人のユニークな造形と質量感は相変わらずかっこいい。あの丸っこい塊が、背中のロケットで飛ぶというのも奇抜。
今回、哀れな姿になってしまう鉄人だけど、いずれまたこのユニークな勇姿を復活させてほしい。そのときはどんな新しいテーマを投げかけてくれるのだろうか。

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