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2007.02.12

「カンバセーションズ」

表面上は、ほとんど台詞だけで構成された会話劇。一応、不倫を材料に取り上げているから、不倫ドラマが好きな人にはもしかするとお勧めかも。ただしこの不倫はほぼ会話でつくられているから、痴的な劣情ドラマ好きにはあくびが出そう。以下ネタバレ。

 

実験的な映像が面白い。画面を横に二つに割って、最初から最後までこれで通す。デュアルフレームというらしいが、私としてはニンテンドーDSシステムと言って欲しい(笑)。
宣伝文句では、男視点と女視点で描いていることになっているらしいが、その表現は誤解を生む。

確かにそういう視点から撮影した映像が多い。観る側は、会話する男女の微妙な表情やしぐさの動きを同時に見るから、普通に撮影編集されたものとは明らかに密度が違う。しかし、そうはいっても、音として聞こえるセリフは普通に交互に交わされる会話だから、互いに全く違うことを考えたり喋ったりしているわけではない。

むしろ、この映像処理は、会話の途中でそれぞれの頭の中に浮かぶイメージ--過去の思い出や遠く離れている家族など--を、現在進行中のものごとの横に、同じ大きさとリアリティで映し出す点に、新しさがあると思う。

不倫に落ちようとしている、中年の男女の頭の中に去来するあれこれ。若い頃恋に落ちた自分たちの思い出のあれこれ。そういうものが、いま現在のリアルな自分たちに重なって、やるせない感じや、諦念や、時の流れに対する妥協や、いろいろな苦さ甘さを醸し出す。
表現が難しいけど、微妙な色合いの変化を連続させた、他に類を見ない作品、とは言えると思う。


「男はズルいロマンチスト、女は罪なリアリスト」という宣伝文句は、はじめのうちはよくわからない。映画の終わり近くになって、一夜のアバンチュールの後、日常に戻ろうかというところになって、やっと納得がいく。そこは、この映画の売り文句ではあるけど、売りではないのだ。

これは、興行的にはきっと苦しいだろう。オフィシャルページには、物販のリンクなどがあって、資金繰りの苦労を偲ばせる。

私には、苦さ甘さのところが割と面白い映画だった。「サンキュー・スモーキング」のアーロン・エッカートが、再び台詞中心の独特な役を苦もなく演じて見せてくれる。

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