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2006.12.17

「王の男」

権力と風刺の対立と、それと裏腹に微妙に共鳴する両者の関係とを見事に描いた、とでも言えばいいだろうか。俳優の男らしさと女らしさ(女形らしさ?)も嫌味なく立っていてお話しに花を添えている。見ごたえのある1本。以下ネタバレ。


権力を批判する自由が確立されている社会にいて、それが幸せなことなのだということを私はともすると忘れがちだった。
しかし、風刺というソフトな方法を使っても、権力批判をするということには、本来は相当な覚悟、決して屈服しない強い何かが必要だということを、この映画は示している。

タイトルからは女形役のコンギルが主役に思えるが、観てみると相方のチャンセンの存在が大きい。風刺を行う者の覚悟を体現しているのはこの男の方だ。

それだけだと、妙に熱い市井の批判者のお話しで終わってしまうのだが、コンギルをその相方に据えて、陰謀の中で一人生きてきた王の悲哀を伝えさせることで、権力というものを、無表情な、単なる批判の対象としてではなく、もっと普通の人間に身近なものとして描いているかのようだ。

チャンセンは、その身近なものに生身で対峙して代償を払いながらなお、芸人としての自分を貫くのだが、そこには不思議なことに、朝鮮半島の文化の基層にあると言われる「恨」の感じが無い。あるいは、私が「恨」を間違って受け止めているだけなのかもしれないが。

この映画を韓国の人たちは高く評価したそうだが、そのことはよく記憶しておきたい。TVドラマを見ない私にとって、この作品は、半島の人たちを考える良い手掛かりになりそうに思う。

むしろ、「グエムル」よりもこの映画の観客動員が低いという日本の方が、映画を観る目は無いのかも知れないと思うと、ちょっと憂鬱。

コマーシャリズムの弊害と、言ってしまえばそれまでだが。

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Tracked on 2006.12.17 at 12:49 PM

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