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2006.11.25

「パプリカ」

シャープな映像、ノリのいい音楽、リズムのある展開で、あっという間の100分。夢ものだから当然といえばそうなのだけど、場面転換の面白さがいい。話しの本筋は分かり易くできている。凝った物語ではないので物足りなさを感じることもあるかもしれない。

無意味な日本語の羅列とか、夢が具現化した行列の日本くささとか、脈絡のない孫悟空とかは、かなりドメスティックな感じ。天才オタクたる時田の幼児性とそれを受け入れて愛でている大人の女である千葉という二人は、しばらく前まで日本ではお馴染みのカップルのイメージだった。

それだけに、海外の人にうまく伝えるのは少々難しかったかも。ヴェネチア国際映画祭であんまり評価されなかったのは仕方がないか。

でも、ディテールの取っ付きにくさをスルーすると、案外普遍的なテーマが埋め込まれていることに気付く。このお話しは、大勢の他人を巻き込む悪夢と、ささやかで個人的な夢とを対置して、後者の価値を訴えかけている。筒井康隆が言いたいことはそちらの方かもしれない。

悪役との対決が終わってあちこちで黒煙を上げる東京の街。それは、人によっては、60年ほど前に焦土になった同じ街に重なって見える。時を隔てて2つの街を繋ぐのは、ぽつりと呟かれる台詞だ。
「夢は・醒めたのか・・」

悪夢とはそういうものかもしれない。知らないうちに弱いところから取り込み、いつしか周囲に伝染して勢力を拡大するものだ。いまだに醒め(たく)ない人、新たに取り込まれた人も少なくない昨今、この映画は案外タイムリーなネタだったのかもしれない。

最後に、千葉敦子の印象的な台詞をひとつご紹介。
「そういえば最近、(自分の)夢を見ていない・・」

どうせ見るなら、他人の思惑という名の悪夢ではなく、自分のためのいい夢を見よう。

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