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2006.11.16

映画予告編に見る文化の違い

このところ、iPod5GでVideoPodCastをチェックして見ることが多いのだけど、米国のiTunesStoreと日本のそれとが両方見られて嬉しい。特に映画の予告編は米国iTSのが充実している。日本ではたぶん公開されないものもたくさんあるのが少々残念ではあります。

ところで、日本のiTSに載る日本公開映画の予告編に、最近ある変化が起きた。例のMPA(音楽出版社協会)とかいう団体の「映画観るな広告」・・もとい、「海賊版映画観るな広告」が付くようになったのだ。遡ってチェックしてみると、今年の10月24日以降のものから付いている。

この広告の下劣さは、金を払って観ている大多数の者に対して初めからあからさまに疑いの目を向けてくる点にある。そのことは以前も書いた。客を最初から泥棒かなにかのように決め付けて、気色悪い髑髏に私達観客をなぞらえている。人を馬鹿にするにもほどがあろう。

ひとつの救いは、この団体が「音楽出版社協会」、つまり原盤をつくったりする企業の団体であって、著作者自身ではないらしいことだ。創造的な活動に取り組む著作者がもしこんな愚劣な創作物をつくるのに勤しんでいるとしたらコンテンツ産業の明日は真っ暗だと言うところだが、そうではなく、創作者の周辺にぶらさがって儲けている人たちの集団がやっていることだったらしい。ああよかった。
いやいや、よくはないな(笑)。

 

さて、この手合いに向かって腹を立てても無駄のようだから適当にスルーしておくとして、一点、日本の予告編のみ見ていては気付かないことを指摘だけしておこうと思う。比較対象は同じiTSに載っている米国公開映画の予告編だ。

ハリウッドの関係者は、たぶん、日本の著作隣接権関係者に負けず劣らず、いやそれよりはるかに徹底して、利益に貪欲で海賊版に妥協しない人たちのはずだ。にも関わらず今のところ、米国の予告編には、日本の予告編に見られるような映像は付いていない。なぜか。

老練な米国映画産業は、知っているのだと思う。日本の幼稚な映画産業がしきりに流している、観る側の興を削ぐようなキャンペーン映像の類は、自分達の利益の増大に全く役に立たないだけでなく、正当な客の機嫌を損ね、他の娯楽へ追いやってしまう点で、むしろ不利益につながるということを。

日本の映画産業は学んで欲しい。こうしたやり口は、人間の機微や真実に迫ることで価値を生み出すはずのコンテンツ産業の価値を貶める、幼稚さと愚劣さの顕れでしかないということを。


私がこのキャンペーン映像に心底怒りを覚える理由は、自分達が絶対の正義であると決めてかかる粗雑な傲慢さと、情緒に訴えて脅迫しようとする幼稚さを、ふたつながらに持っているからだ。
そんなものがもし映画作品の中に出てきたら、それは救いようのない悪役でしょ(笑)。


[追記2006.11.26]
MPAの海賊版撲滅キャンペーン映像だけど、その後、新バージョンに変わったみたい。今度のは海賊版をつくる人を間抜けで恰好悪く描いたへたうまイラストで、わしら客を侮蔑する表現は引っ込めたようだ。とりあえず、映画を観る直前に気分を100%盛り下げられることはなくなった。さらに一歩進めて、文字表示だけにして時間も短く、気分の盛り下がりを20%以内に抑えるようにしてもらいたい。

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