もしも昨日が選べたら
限りなくB級だと思うのだけど、よくできたB級。そもそも私はケイト・べッキンセールがわりと好きなので、それが奥様役というだけでもう満足(笑)。
人生早送りが可能になった男のお話しということで、楽で楽しい部分の描写ばかりなのは当然として、これが案外中味がなくて、観ているのがつらいことに気付いて驚く。楽しいことばかりという映像は、実は味気なくてつまらないものなのだ。少なくとも私にとっては。
巻き戻しは再生ONLYなので、通常のタイムトラベルものと少し違ってトリッキーな展開もなく話しは真っ直ぐ進む。それで余計に退屈な感じになる。
そんな中で救いはケイト・ベッキンセール演じる美人奥様の健気さ。こんなよくできた奥様はたぶん現実にはいない。クールな役だけでなくこういうクサイB級の役も一応こなせるんだ。
もうひとつの救いは、子役のかわいらしさ。女の子役のテイタム・マッキャンという子がかわいい。お父さん思いな台詞がまたひとしお。
そんなこんなで割とお気楽に進んでいくお話が、最後の長い早送りのあたりから急にシリアスになっていく。10年もの長い早送りで、あの健気な奥様とかわいい子供たち、それに人のいい老親夫婦は一体どんなに傷つくんだろう、ということを、その前までのウォームアップ的な展開で予感させておくところがうまい。この辺りからB級色が急速に後退していって、まともな悲喜劇に。
最後はとうとう悲劇で幕を閉じ・・と思うとちょっと違う展開が待っている。観客に、あーやっぱり家族は大切にしなきゃと思わせるくらい、十分シリアスな感じを出しておいて、最後にちょっと救いを入れる、この辺のさじ加減はB級ではない。
ズルといえばそうかもしれないけど、ほっとさせられるには違いない。
安心して自分の日常を反省できる一本。仕事中毒な人に特にお勧め。
そうそう、オフィシャルサイトで脚本家の青柳祐美子さんがほろりとさせることを書いているので、抜粋して引用。
日常はつまらないことやめんどくさいこと、苦しいことが大半だ。だからこそ、一瞬訪れる楽しく幸せな時間、小さいけれど成果や成功を得た時に心から温かい涙を流し、笑顔になれる。何が大事な時間でそうでないかなんてその時には分からない。毎日過ぎていく時間は流れてただ消えていくのではなく、次々に小さな箱に入れられる。中に何が入っていたか分からなくなってしまうほど経った時にふと開けてみて、それこそが「神様に贈られた時間」だったことに気づくのかもしれない。
まだまだ人生の夏を生きてる。そしていつか冬が訪れた時、子供の頃のクリスマスツリーに負けないくらい大きなリボンがかかった箱が、足下にたくさん積まれていますように。
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