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2006.08.14

紀州行060814

6:00起床 ビスケットと果物で適当に腹ごしらえをして、まだ起きだしていないキャンプ場を尻目にぱたぱたと撤収、熊野本宮大社へ。

熊野本宮はちょっとした丘の中腹、急な石段を上ったところに社がある。八咫烏がシンボルで、修験道をおもわせる賑々しさがある。皇大神宮の静かで奥ゆかしい感じとは対照的。加えて「日本」というものをなぜか強く意識しているようだ。幟には日本がんばれ的なキャッチフレーズが書かれていたりする。妙に俗っぽい神様だな(笑)。
祀られている主神が家津御子大神(スサノオノミコト?)だそうだから、まあそういうものなんだろうか。よく知らないが。

石段を登っていく途中、枯れた感じの中年の男とすれ違ったら、向こうから「おはようございます」と挨拶してきた。こちらも同様に返す。
実は今回の紀州旅行で、すれ違う人と挨拶を交わしたのはこれが最初だ。山道を歩いていたりテントを張ったりしているときに、すれ違う人にはこちらから挨拶はするものの相手から返礼はなかった。観光地化して都市の流儀が浸透しているのだろうと思っていたが、ここ熊野山中ではそんなことはないようだ。

社を見た後は、大鳥居があるという大斎原へ行ってみる。熊野川の横に開けた水田を抜けていくと、はるか向こうに巨大な鳥居が出現する。その高さ34m、幅42m。日本最大らしい。もちろん木造のはずもなくたぶんRC造なのだろう。笠木中央には菊御紋ではなく八咫烏の紋。そういえば、社の妻側の紋も八咫烏だった。菊御紋とは一線を画しているのだろうか。

大鳥居をくぐって奥へ歩いてみる。ここは熊野本宮大社がもともとあったところだそうだ。明治時代に熊野川の水害で社殿が流されて、今の丘の中腹に社が移された由。この河原に近い平地では危なすぎるということだったのだろうか。
しかし歩いてみるとここの方が神域としてはふさわしいように思う。くつろいで開けているし杜も懐深い。余裕が感じられる。

水害はかなり制御できる世になったのだから、この場所に社を戻してもいいのではないかと、勝手な感想を持ったのだった。

熊野本宮はこれくらいにして、新宮へ向かう。十津川にあるという日本最長の吊橋も見たかったが、また今度。

新宮駅前でまずはコインランドリーに寄る。洗濯物を放り込んでから、熊野速玉大社へ。こちらは、本宮と違って赤白緑の色鮮やかな彩色。イタリア国旗ですな(笑)。もっとも、寺社の本来の色彩はこうした派手な色合いのはずで、経年変化で色落ちしたものを「侘び寂び」などと言って有難がっているに過ぎないという説もあるそうだから、極彩色を軽く見たものでもない。

新宮大社のあとは、徐福公園へ。駅前から歩いてすぐのところにある。中国風の派手な門で飾られた小さな公園だ。徐福を稀代の詐欺師とする見方もあるが、秦という強力な中央集権国家の堅苦しさを嫌って新天地を東海に求めた哲人とする見方もある。私は後者の見方が好きかな。あーこれからわしらの国も多少秦みたいになるかもね。すると金持ちの教養人は海外へ避難ということに(笑)。

さて、洗濯も終わって次は熊野那智大社へ。これで熊野三山をすべて廻ることになる。
那智大社では社と滝が目当て。社のほうは、まあ普通の社ですな。平安調の装束を貸す衣装屋があって、男も女も平安貴族のような気分でお参りと滝見物ができる。丁度、一組の母娘がこの装束で歩いているのを見かけたが、なかなかに風情がある。静御前に姫があればまさにこんな感じかというような。
小学校4年生くらいの女の子が特に可愛らしくて、滝をバックに記念写真を撮るおばさんたちの集団に一緒に引き入れられていたり。一般人なのに(笑)。ところで、この母娘の写真を私も撮ろうと思っているうちに、周りにつきまとっている社務所の事務員風のお邪魔男に気付いた。よくよく見ていると、この男、母娘の旦那らしい。半ズボンに野球帽といういでたちで手にはハンドバッグを持たされている。一緒に男用の装束で歩いたらいいのに。烏帽子被って。でも芝居っ気がないと恥ずかしいかな。こういうとき女は度胸が据わってるね。単に楽しみ方を知っているということか(笑)。

滝のほうはごく普通というか・・TVで世界中の大瀑布を見ていると、慣れてしまっているのかもしれない。近くまで寄ってみてもこれといった感慨もなかった。損なことだなあ。海上からも見えるそうだから案外そちらの方が感慨深いかも。

三山を見終わってあとは次の泊地、潮崎へまっすぐ向かう。
このキャンプ場は広い。本州最南端の岬の根元に広がる大きな芝地で、旧海軍の望楼があったことから望楼の芝と呼ばれている。現在は展望台があり、「本州最南端訪問証明書」を貰って上に登ると、180度の水平線と、同じ広がりの芝地が眼下に見渡せる。上から見下ろして他のテント群や駐車場から離れた広大な場所に目星をつけて設営。テントの中に寝たままで、茫漠とした海が見渡せる。周囲100M四方に他のテントもない絶好の場所。

寝場所が決まったところで、串本駅付近の銭湯へ行き、それから町をぶらつく。大きな食品スーパーが2軒もあり、失礼ながら僻地とは思えない賑わい。通りに政治家の事務所があり、主の似顔絵とともに「祝経産大臣就任」などと書かれている。なるほどあの人の地元なのね。

土地の名を冠した飯屋に入って刺身定食を頼む。ここの給仕と年老いた女将がおもしろい。なにしろ客の注文を覚えていられない。しかも二人ともがそうで掛け合い漫才をやるものだから、店は混乱を極める。こういうときは刺身定食のような単純な注文を出した者の勝ち。「なんとかの刺身となんとかの焼いたのとあとなんとかの焼酎」などと凝った注文をしていた右隣の客は、次々に出てくる間違った品に翻弄されてついには笑い出していた。
味は、まあ普通。刺身定食を頼んだのに焼き魚が一緒についてくるのが変だが、まあサービスのつもりなのだろう。飛魚の焼きものだけ頼んでいた左隣の客は、半分ほど残して出て行ったから、口に合わなかったのかもしれない。
おもしろい店だった。

キャンプ場に戻って早めに寝る。
夜中、ふと目が覚めると、沖の方に漁船の灯り。飛び起きて広い芝地の中央に作られた小さな丘に立ってみる。マスト・船尾の白熱灯と、右舷の緑色灯、左舷の赤色灯が入り混じって、右に左に動いている。ときおり灯台の強い光がさっと芝生を舐めていく。空は雲ひとつ無く、半月と星が輝いている。海と空がひとつになった光の競演。ときどき流れ星も加わって大層な賑わいだ。
やあ、これだけでも今回の旅行に来て良かった。ときどきはこういういいことがないとね。

寝静まったキャンプ場で一人だけ、この贅沢な公演をしばらく楽しんだのだった。

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