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2006.07.02

海辺のカフカ

圧倒的な偏見を持って強固に抹殺するんだ。
<奈良高1放火殺人>父親「失火願ったが…」 まだ面会せず

奈良の高1は16歳。ハリーポッターが好きでよく読んでいたそうだ。一方、「海辺のカフカ」の主人公は15歳。この小説は平成14年刊行だから、奈良の高1が15歳の時に読むことは可能だった。彼が、ハリーポッターなどではなく海辺のカフカの方をもし読んでいたならと思わなくもない。もちろん、そんな機会は訪れなかったのだろうし、だからこそあんな事件が起こってしまったのだろうけど。

あるいは読み違えたから起きたのか。


私は、彼が継母や兄弟ではなく父親をこそ抹殺すべきだったなどと言っているのでは、もちろんない。「海辺のカフカ」はそんな皮相的な話しではない。
むしろ、父親を通して彼の前に立ちふさがっていた、形のないものをこそ、強固に抹殺すべきだった。圧倒的な偏見をもって。

そうしないと、君が同じことをやられる。
それが現実の世界だ。確かにね。
あるいは、孤独で善良な15歳にはまだ無理であれば、一旦逃げ出して旅をしてみるべきだったかもしれない。


この小説は、その15歳の旅を軸にして、意識されない縁と人の世の成り立ち、彼が生き延びて未来に行うべきことの暗示、を描いたものだ。他にも結構大切なことがいろいろ描かれているが、奈良の高1の事件と見比べてみると、その2つが浮き出して見えた。

現代の少年には、逃げ出した先に受け入れる場所や人がどこにもないということが、たぶん問題なんだろう。いや、そもそも逃げ出すかどうか悩む時間と心の余裕さえないのかもしれない。

 

まずい状態なのじゃないか。
放置すれば、20年後にこの反動はきっと来る。

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Tracked on 2006.07.02 at 03:47 PM

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