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2006.06.20

インサイド・マン

見た人の評を読まずに、まず観るのが吉。私はこの映画、嫌いじゃない。以下ネタバレ。

これは「取引」の映画だ。4人の主要な人物が、それぞれの利害得失をテーブルに載せ、あるいは隠しながら、取引を有利に終結させようとする。そのプロセスを楽しむ映画。と同時に、これがそういう種類の映画だということに最後の10分で気付いてにんまりする映画でもある。
私はそんな風に観ました。

取引の舞台には、銀行強盗という切迫した状況を借りている。お決まりの小道具や逃走方法など比較的オーソドックス。日本人はルパン三世で見慣れてる(笑)。隠し部屋のトリックはシャーロックホームズかな。トイレ用の穴を掘るシーンにそれなりの時間を割いているのが、途中は何だかわからないが後になって妙にリアリティを感じさせる。
少しでも反抗しそうな者、目立つ行動をとって他者に顔を覚えられた者を、途中で釈放しているのも、後になってなるほどと思わせる。

といった、銀行強盗のディテールを楽しんでいるうちに、事態は強行突入へ。突入そのものも、犯人側に操られて引き起こされたと見えなくもないほど、この頃には、犯人こそが事態を掌握していることがわかってくる。

強行突入を察知して、先手を打って逃走。その方法は、映画後半で十分予想がついているから、これは映画を真のエンディングへもっていくための通過点に過ぎない。

その後が、最初に書いた「取引」の種明かしになる。取引というものには当事者の価値観が伴うから、ここは興味深いところになる。どう興味深いかは観てのお楽しみ。


銀行グループの総帥は、金を払わされた上に、過去を暴かれる手掛かりを随所に残したまま終わるので、一見、彼が一番損な取引と思うかもしれない。しかし、悪魔に魂を売った代償が、このケースで支払う程度の小金で済むはずがない。死ぬまでに全て吐き出すくらいで、やっと帳消しというものだ。一方、それぞれ小金や昇進を手に入れた2名は、うまく立ち回って得をしたようだけど、同時に命の危険を抱え込んだことを忘れていないか。得をしたとはとても言えない。
結局、映画の冒頭と終幕を自らの顔のアップで思わせぶりに締めた強盗犯が、欲張らず、出しゃばらず、隠密のうちに退場して、一番得をしたように、私は見た。

多少ブラックな気分を残して、映画は終わる。
なかなかいい味の1本。

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