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2006.05.01

隠された記憶

だれでも、子供の頃にアンフェアなことをしてしまって気に病んだことはあるだろうと思う。長い時間のうちに記憶から薄れていて、あまり表面には出てこない。
それが、ふとしたことで表に出てきて、心にさざなみを立てることがある。この映画はそれに焦点を絞って描いたもの。それがどのような形で記憶の表に現れてしまうかは、見てのお楽しみ。

こういうアンフェアネスは、した方にとっては些細なことだが、されたほうにとっては長く記憶に残る。この映画のアルジェリア系の彼のように、「最期のときには出会うだろうと思っていた」ほどにわだかまりが煮詰まってしまうこともあるのだろう。
くわばらくわばら。

ちょうどCPEとかいう法案が大規模デモで葬り去られたこともあって、この映画はタイムリー。フランス人の心の奥底には、この映画のような経験が、もしかすると刻まれているのかもしれない。

いわゆる既得権者は、この主人公と同じように、開き直りつつも滅入った気分になるのは避けられないかもしれない。それはある意味で健全なことではある。開き直りが変に強硬な姿勢に化けたり、自己正当化に走らないところが、この映画が示す価値だと思う。主人公の彼は、自分のしたことに苦しんだ。今後の彼の行いにそれは影響を与えるだろう。

それで当面は矛を収めるべきだろうか。
もちろん、別の立場からの見方もあるに違いない。


お話しはスリラーの体裁をとっているが、特に犯人を追及するわけでもなく話しは終わる。スリラー仕立ては手法として使っているだけでこの映画の本質とは無関係だから気にしない、と思うこともできる。

しかし、犯人探しをしないこの終わり方は、ひとつの暗示だと思うこともできる。「誰かが必ず、あなたのアンフェアネスを見ているよ」という暗示。

案外それがこの映画の真の意味かもしれないな。私はそのように観ました。

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