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2006.05.02

GW記060502

ほどなく夜が明ける。大島はもうすぐだ。空は相変わらず雲に包まれて、一面薄明るい灰色。多少波が出てきたらしく、船首が海を割って泡を大量に吹き流していく。黒い海の表に白い泡が青い縁取りを従えて模様を描く。
その白いキャンバスの表に、ついと魚影が走って消える。胸鰭の開き方から飛魚と知れる。

いいぞう。船旅らしくなってきた。

大島、利島、その次が目的地の新島だ。どの島でも、釣り人、サーファー、そして地元の人が入り混じってのどかな空気。一応職務上出迎えを怠らない警官も、ごくろうさま、というところ。

新島に着く。私のキャリアは手荷物で持ち込んでもよかったのだが、試しに500円払ってコンテナで運んでもらったのだ。それが下ろされるのを待つ間に、大方の乗客は宿差し回しの車で次々走り去っていく。釣り客などは、私のキャンプ道具の箱よりはるかにでかいクーラーボックスをエイヤッとばかりに担いでいく。気合入りまくりじゃないか。よい釣果があらんことを。

船から降ろされたコンテナの中身で一風変わっていたのは、バイク。大島では、400CCのスクータ2台が現れて、若いカップルが受けとっていた。地元民ではなさそうだから、あれで島内をツーリングするのだろう。便利そうではあるけど、ご苦労なことだ。

さて、やっと自分の荷物をうけとったときには、あたりに人影もなく、広い埠頭に一人残された私だった。相変わらず雲は島の上半分を覆って深く垂れ込め、陰鬱な空気。一体これからどうなってしまうのか。

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気をとりなおしてガラガラを引きずりながら観光協会へ行く。島内の地図をもらって、一番近い貸自転車屋の場所を教わる。キャンプ場は島の反対側で、そちらに同種の店はないそうだから、ここで借りていかねば。

貸自転車屋への1キロほどの道すがら、変わった石彫が並んでいるのに出くわす。人の身長ほどあるそやつらの大半は顔と思しきものだが、異様にデフォルメされているものばかり。それが灰色の空の下、次々眼前に現れる。お前たちはもしやク○ゥ○フの眷属ですか。どうか私を食べないでおくれ。

いかん。鬱な天候のせいでへんなものが見えたらしい。

貸自転車屋の若い息子とその親父と挨拶を交わしてやっと人心地がつく。なーんだ、ちゃんと人が住んでるじゃん。魔界じゃないみたいだよ。

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荷物を荷台にくくりつけてこぎ出す。自転車に乗るのは久しぶりだから、はじめは慎重に。途中、必需品のウレタンマットを買おうと試みる。大急ぎで家を出てきたので、忘れてしまったのだ。これがないと背中が痛くて寒くて寝るどころではない。

しかし、島の商店にそんなものが普通に置いてあるはずはなかった。聞かれたおばちゃんは困り顔。私は内心、応急措置で替えの衣類を敷いて寝ることなど考えはじめる。
そこへ登場したのが店のおやじ。話しを聞くなり言い放つ。「ダンボールでええじゃろ」。・・・・おお! そのとおりですとも。どうしてそんな簡単なことに気付かなかったのか。

かくして、頑丈なダンボール箱を貰い受けた私は、それを解体して荷台の荷の上に括り付け、意気軒昂とキャンプ場を目指したのだった。

ホームレスと変わらないどころではない。ホームレスそのもの。

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キャンプ場に付く。広い。美しい。斜面に茂った木を切り払って芝に替えたらしい。なかなかいいサイト。しかし今日は天気が悪い。強風が吹き荒れている。先客はみな、サイトの縁の樹が茂った場所に設営して難を避けている。そちらはもう満杯。私もようやく、サイト中ほどに生えた1本の木の根方に風の弱そうなところを見つけて這うように設営。

落ち着いたところでざっと見回すと、外国人が多い。30くらいあるテントの半分ほどだろうか。そういえば新島は世界的に知られたサーフポイントなのだそうだ。(と観光パンフにある)。ガラスアートでも世界的にユニークな原産材を使った試みが行われているらしい。そのためだろうか。

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さて、天気が悪いといっても、減量のために汗をかく目的にいささかの変わりもない。今日は島南側、向山展望台を目指す。ママチャリで。。。大丈夫なのか。

途中、海岸ぺりに露天風呂があるのを発見。さっそく入る。崖の上から海を見渡しながら、湯もほどよく熱く藻で濁っていたりせず、たいそう気持ちの良い風呂だ。ギリシャ神殿の劣悪なコピーもどきが建っていたりするが、ご愛嬌としておこう。むしろ○トゥル○の眷属達を配した方が、らしくていいと私は思うが。

風呂を出て、再びチャリを一心にこぐ。こげない所は押して歩く。高度が上がるにつれて靄は深く、霧雨なども時々降る。シャツは汗と露でびしょ濡れ。多少は体重は減っているのだろうかね。
疲れ果てた頃に、目指す場所の標識を発見。脇道に入ってみる。

驚いたことに、そこは現役の採石場のただ中だった。白い靄の中、静まり返った石たちの間を、音をたてないように歩く。気付かれればあいつらが動き出しそうに思えてしかたがない。てんでに積まれた石たちを見つめていると、そこに何か表情を刻みたくなってくる。

なるほど、海岸沿いの道に並んでいたあれらは、こんな自然な衝動から生まれたのかもしれん。観光資源とか村興こしとか以前に。

表現は稚拙だが侮れない。ここは石の島なんだ。

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採石場の奥にある展望台らしき広場からは、この天気ではもちろん何も見えない。が、採石場の雰囲気に十分満足した私は、さらに上を目指す。ほとんど登りきったかと思われるところで道は二股に分かれ、どちらへ行っても自衛隊の敷地で行き止まり。眼下にはミサイル試射場だろうか、いくつかの施設が見える。ときどきジェット機の轟音が聞こえるのは、この施設関連か。

さて、これ以上は進めないことがわかったので、引き返す。下りは自転車の有り難味を存分に味わう。あっというまに麓近くまで降りてきて、親水公園というところのレストランで遅い昼飯。なにげに鳥辛味揚げ定食など頼んだら、すごいボリューム。せっかく減量したつもりが、これで雲散霧消する。まあ、久しぶりに体を動かしたからよしとしよう。

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キャンプ場の夜。それは私にとっては明日に備える睡眠時間だが、キャンプ場の半数を占める外国人にとっては、パーティタイム。炊事場の狭い空間で押しくら饅頭しながら賑やか。音楽も、ここはクラブかという選曲。ああいうノリは、外人にはなかなか叶わないなと思いながら、寝る。

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