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2006.04.15

リバティーン

ジョニー・デップは、彼に拮抗する俳優達と脚本とともに在ってこそ一層輝く。この映画はその条件を満たした一本。耽美的というか破滅的というか、放蕩という言葉も似合うジョニー・デップにふさわしいお話し。

芝居小屋のシーンが多かったり、女優を育てる話しがひとつの軸になっていたりするせいか、かなり演劇的な感じのする映画。CGの力を見せつけるスペクタクルに飽きた頃合にこういう映画を見ると、あらためて人間の俳優っていいなあと思う。

早熟の天才が斜に構えた生き方を続け破滅していく物語の中で、その才能に惹かれた人々、王と、女優と、娼婦と、妻、それぞれとの関わりを描く。
破滅への道程を哀しく彩るのは、主人公の煌く才能の迸り。それは王の窮地を救う演説の一幕となって象徴的に観客の心を打つ。

それほどの主人公の才能に拮抗するのが、主人公自身が育てた女優の演技。最期の別れのシーンで、女優は立場の逆転を簡素な言葉で示す。

そうだ。そうやって献身的に働いてあっさり捨てられるのが、男というものの定めなのだよ(笑)。そうして捨てられた男の哀しい顔がたいへんよい。ジョニー・デップのような力のある俳優が演じると、なおよい。

そして、そんな男に最期まで寄り添う妻という女もまた一方に居て、物語に奥行きをつくる。定番ではあるけど、改めて心を打つお話しと演出でした。

女優を演じたサマンサ・モートンの迫力はもちろんだが、王役のジョン・マルコヴィッチと、妻役のロザムンド・パイクの存在感が、このお話しを多極的にしていてたいへん良かった。

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