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2006.04.02

ファイヤーウォール

たいていのコンピュータセキュリティは、デジタルな世界で破られるのではなくて、むしろアナログな線から破られるものだ。先日、住基ネット絡みで情報漏洩を起こした自治体が、パソコンの操作マニュアルにパスワードを堂々と書き込んで配っていたという笑えない話しを聞くまでもなく、わしらはそれをよく知っている。あなたも、パスワードをポストイットに書き付けて、キーボードの裏側に貼り付けてるでしょ?(笑)。

この映画は、そうした「うっかり」や「無知」や「油断」からくるセキュリティの穴ではなくて、もっと恐ろしいこと、「脅迫」による穴を描いたもの。その点で、これまでのセキュリティ破りの話しと少し違う。

この映画では、被害に遭う人間をセキュリティシステムの責任者に設定しているけれど、実際に狙われるのはむしろ管理部門の責任者かもしれない。

お話し自体は、実際にはすぐばれそうな方法を、いかにもうまくいきそうに描いてはいる。重要情報を操作したり閲覧できる人間は、普通、多重化された相互牽制の仕組みに組み込まれているはずだから、その網をくぐってたった一人の内部者に不正操作をやらせるのは結構難しいはずだ。

しかし同時に、実際に銀行の支店で起きたケースとして、勤続何十年という女子事務員が、男に貢ぐために相当額の金額を横領していてもしばらくの間気付かなかった事例などもあるから、全く無いとも言い切れない。そのケースでは、管理部門の人間が実務の詳細に疎く、事実上その事務員がすべてを仕切っていたという報道がされていたと思う。一言で言えば管理者の職務怠慢ではあるのだけど。

一昔前なら、こうしたプロットは例えば「核ミサイルの発射ボタンを押させるために、大統領の家族を人質にとって脅迫」といったものになったのだろうけど、最近はやはり情報システム破りの方が話題として受けがいいのかもしれない。
 
 
映画としては、よくできているので飽きはしない。

残念な点をいえば、こうした犯罪に対しては、組織力が発動して、暴力的で多少知力のある犯罪者をあっさり制圧・・まではいかなくても、いいところまで追い詰めるところを描いて欲しかった気がする。

例えば、提携交渉先の切れ者風の役員は、主人公の様子の変化に気付いているのだから、もっと早めに調査をすべきだったし、そうすればこの話しの最後の荒事の舞台は、郊外の廃屋なんかではなくて、主人公の家の居間が舞台になったはずだ。俳優の力のこもった荒事は、その最後の仕上げにした方がもっとよかった。

映画としては二転三転の展開にしたいところなのだろうけど、自動小銃まで持っている犯罪グループに、一介のシステム屋に過ぎない主人公一人が、ほぼ一人で立ち向かい勝ってしまうのはかなり現実離れしている。

そういうあんまりといえばあんまりな不自然さを覆い隠すくらいに、ハリソン・フォードが老骨に鞭打ってがんばってるところを見ました、ということでよしとするか。

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