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2006.01.09

建築の近代

東京ステーションギャラリーで、前川國男展が開かれている。コルビジェのアトリエで仕事をし、日本近代建築の先駆と言われた前川だが、その発言や作品は実に素朴だ。

個人的には、前川の作品にとくに感じ入ったことはない。神奈川県立青少年センターでよく遊んだことはあったが、「やけにだだっぴろいところだな」くらいの感想だけだ。シルクセンターはあまり好きではない。あの絶好の位置に、しかも軸線を受け止めるべき位置にだ、なにゆえあのようなこきたないものががんばっているのか、素直な子供心には理解しがたかった。

ところが、近代というものを振り返ってみると、前川の態度は、なんのことはない、いまのわしらが建築以外の分野で行く道を、はるかに先駆けていたわけだ。

まあ、前川はデザイナーではないから、それはよしとしよう。それで許される欠乏の時代ではあったのだ。


展示会場には、前川の言葉の断片が、ところどころパネル化して展示されている。順路のおわりのほうに、こんなパネルがあった。

度重なる戦災もゴシックの建築を滅ぼすことはできなかった。しかしゴシックがその建築の真実を喪った時に、ゴシック建築は滅びた」といったラスキンの言葉が、今日に至るまでぼくの脳裡にやきついて離れない。
「1928年パリ・セーブル街35番地『a+u 1974年2月号』」
ステーションギャラリーの小さな窓からは、前川の手になる東京海上ビルと、つい最近できた近代建築の粋ともいうべき新丸の内ビルが一望できる。

極限まで材料・構造・工法を効率化し、ついには耐震性を偽装する者まで現れるに到った「近代」を、彼ならばどう切るだろうか。

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