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2006.01.27

東横イン社長の弁

土日もなく単純作業に拉がれている昨今(笑)、やっと多少余裕ができて9時のニュースを見られるくらいの時間に帰ったと思ったら、いきなり、東横インの条例違反の話しが流れていた。

一定以上の規模の建築は障害者用の駐車場を設置しなければならない条例があるところ、はじめは駐車場を設置して確認申請も工事完了検査も通ったのだが、その後、駐車場をロビーに作り変えたらしい。
その社長の言がこんな感じ。

車で60km制限のところを67kmとか68kmで走ってまあいいだろうと思っていたが、60kmで走らねばだめだと。言われてみればそれはそのとおりなので、きっちり60kmで走ることにします。
うーむ。これは難しい。

もちろん、コンプライアンスがとか障害者への配慮という社会的責任がとか、言いだせばきりがない。社長たるものがそんな突っ込んでくれといわんばかりの発言をして軽率ではないかと言うこともできる。

しかし。

「汝らのうち罪なき者、この女を石もて打て」

どうだろう。


設計者の立場からすれば、たしかに馬鹿げていると見える制約は多い。その当初の由来を聞けばなるほどと納得はいくのだが、敷地条件など千差万別の状況に照らしてみると、一律の規制はやはり馬鹿げているとしか思えないこともある。

だから、この種の「改築」はよく行われる。そして結果は「不適格建築」ということで黙認される。のがよくあるパターンだった。

これはいわゆる世間知のひとつかもしれない。やりすぎれば咎められるのは致し方ないのは承知で、誰もが適当にやり過ごしている。

このホテルのケースは、想像だが、工事完了検査後すぐに改築したのではないか。さすがにそれでは、役所は怒るだろう。馬鹿にするなというわけだ。
 
 
 
駐車場の計画上の処理は難しい。エントランスの近くにあるべきだが、風景を台無しにするものでもある。都市計画の分野ではもともと、モータリゼーション自体が批判の対象として取り上げられることもあるのだ。それくらい、ヒューマンスケールの景観や建築と車とは相性が悪い。

社長の発言によれば、条例違反となったこの比較的小規模なホテルの場合は、近くに大規模な駐車場を持ったホテルが別にあるそうだ。経営者としては、車の客はそちらでサービスし、小規模な方は徒歩の客向けだという。
私は中区のあのあたりもよく行くが、この社長の言葉はごく自然でまともに聞こえる。確かに、終電が終わったあと、帰りそびれた勤め人が徒歩で泊まりにいくような立地なのだ。

そう考えてみると、そんな場所でそんな小規模なホテルにまで、杓子定規に駐車場の設置を要求する条例の方が、見直しを求められてもおかしくない。歩行者優先ゾーンとして、そのエリア内には駐車場はつくらせないといった細やかな街づくり計画があってもいいはずだ。
 
 
当面は60kmがルールだからといわれれば、はぁそうですかと言わざるを得ないのだが、ルールの遵守だけを声高に言うニュースを見ていると、釈然としないものが残った。

あえて言うが、子供の言を聞いているようだった。

[追記]
こちらの記事に、この種の問題のうまい対処方が書かれている。空中権や二酸化炭素排出権と同様に、交換可能な権利として取引できるようにする、というものだ。なるほど、うまいルールのつくりかただなと思った。
取引量や全体に占める割合などをエリアごとに決めれば、かなりコントロール可能なのではないか。

横浜市長は力んでばかりいないで、こうした手法を検討してみてほしい。

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