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2005.09.04

のぼり旗と景観法

景観法が制定されて、これで都市(と農村)の景観も多少は良くなるのかと思ったが、実情は難しいものがあるらしい。
日経本紙エコノ探偵団「のぼり旗なぜ増える?」では、北海道大学の吉田教授のことばを載せている。

屋外広告物法に基づいて私有地内に設置されたのぼり旗でも規制することは可能ですが、現実には財産権を保証する憲法などとの兼ね合いから自治体は強制撤去に消極的です。
記事はこのあと尻切れとんぼで終わるのだが、補足メモを残しておきたい。

景観法制定はそもそも、これまで野放図に認めていた建築物や広告物に関する私権を、良好な景観を形成する目的で、より強く制限できるようにしようという意図のもとに作られたのだった。「どのような景観をよしとするか、自分たち(自治体)で景観条例の形で決めたなら、それをきちんと守りなさい。決めたことを守るための権限を与えます。」というのが、この法律の機能だ。これまでの条例による法的強制力のない景観行政が、強制力を持つ法律という後ろ盾を得て大きく前進することが期待されている。

だから、肝心の自治体が及び腰では、景観を良くする結果に結びつかないのは当然といえる。自治体には、都市間あるいは観光地間競争に勝ち残るという、強い意識づけが必要だ。

とはいえ、私権(財産権)が憲法に基づいている以上、おいそれとは制限できない事情も理解できる。自治体もおっかなびっくりというところだろう。

この話しの根っこには、言うまでもなく、公共概念の再構築問題が横たわっている。説得力のある公共概念に立脚した信念だけが、地域の景観ポリシーを一本に集約できる。国立のマンション上層階撤去事件に見るような固い信念を持ち得る地域はまだ少ない。

ともあれ、撤去不可能な見苦しい広告物が、敷地内に引っ込めることも可能なのぼり旗に取って代わられ始めている現状は、一歩前進とは言えるだろう。

事業主の飽くなき強欲とデザイナーの自己実現欲求が結託して生み出す見苦しい景観から、公共概念の枠組みと個性の主張との緊張をデザイン力で解決する魅力ある優れた景観へ、日本の風景が進化していくことを期待したい。

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