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2005.09.10

メゾン・ド・ヒミコ

穏やかな感情の起伏のバリエーション。行きつ戻りつの認識の揺れを楽しむ映画。後味もよい。以下多少ネタバレあります。
 
 
ゲイなどというものを私は直接には知らないので、普通の人とどう違うのかはよくわからない。しかし、それは実はこの映画では重要なことではない。この映画は、両者の違いではなくてむしろ共通点を、上映時間の全部を使ってゆったりと洗い出しているように見えた。
何か理解不能でおぞましいものではなく、普通と少し違うので疎外されている人たちが身を寄せ合って生きている。縁あってそれと微妙に関わり一定の理解を互いに得る。これはそんな立場に立った普通の人のお話しなのだ。

その一番いい現われが、終盤のやま場。仲間のひとりが脳卒中で倒れ、息子の家(普通の家庭)に引き取られることになったとき、ゲイであることを隠したまま彼らは仲間を送り出す。その卑怯に対して、ヒロインの沙織(柴咲コウ)は「そんなのインチキだ」と怒る。彼らの代表である若い館長はそれにこう応える。「ここはゲイが幸せになるためのホームなんだ。」
世間の抑圧に対して、彼らはひとりで立ち向かうことの愚を知っている。小さいながらも自分たちも集団を作って、表に出たり内に隠れたり時には駆け引きしながら生きていくことで、彼らは自分らしさを失わずに済む。

するとそれは、なにもゲイに限った話しではないではないか。

これ以外にも、細かい感情の動きのそれぞれに、ゲイに限った話しじゃないものをたくさん感じ取ることができた。つまり、ゲイといってもその思考の大部分は普通の人間とあまり変わらないことが、そこからは読み取れた。

そういうわけで、私はこの映画を、ゲイの話というよりは、普通と少し違う小数派の、しかし必ずしも閉鎖的ではない、穏やかな身過ぎ世過ぎを描いた作品として観たのでした。

上目遣い三白目で「フキゲン」のキャラそのまま(笑)の柴咲コウ、「美しい男」の双璧の一、オダギリジョー、ほぼ顔だけでいろいろな表情を作った田中泯、いずれもいい演技でした。

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