« 雑記050908 | Main | 選挙結果 »

2005.09.10

メゾン・ド・ヒミコ

穏やかな感情の起伏のバリエーション。行きつ戻りつの認識の揺れを楽しむ映画。後味もよい。以下多少ネタバレあります。
 
 
ゲイなどというものを私は直接には知らないので、普通の人とどう違うのかはよくわからない。しかし、それは実はこの映画では重要なことではない。この映画は、両者の違いではなくてむしろ共通点を、上映時間の全部を使ってゆったりと洗い出しているように見えた。
何か理解不能でおぞましいものではなく、普通と少し違うので疎外されている人たちが身を寄せ合って生きている。縁あってそれと微妙に関わり一定の理解を互いに得る。これはそんな立場に立った普通の人のお話しなのだ。

その一番いい現われが、終盤のやま場。仲間のひとりが脳卒中で倒れ、息子の家(普通の家庭)に引き取られることになったとき、ゲイであることを隠したまま彼らは仲間を送り出す。その卑怯に対して、ヒロインの沙織(柴咲コウ)は「そんなのインチキだ」と怒る。彼らの代表である若い館長はそれにこう応える。「ここはゲイが幸せになるためのホームなんだ。」
世間の抑圧に対して、彼らはひとりで立ち向かうことの愚を知っている。小さいながらも自分たちも集団を作って、表に出たり内に隠れたり時には駆け引きしながら生きていくことで、彼らは自分らしさを失わずに済む。

するとそれは、なにもゲイに限った話しではないではないか。

これ以外にも、細かい感情の動きのそれぞれに、ゲイに限った話しじゃないものをたくさん感じ取ることができた。つまり、ゲイといってもその思考の大部分は普通の人間とあまり変わらないことが、そこからは読み取れた。

そういうわけで、私はこの映画を、ゲイの話というよりは、普通と少し違う小数派の、しかし必ずしも閉鎖的ではない、穏やかな身過ぎ世過ぎを描いた作品として観たのでした。

上目遣い三白目で「フキゲン」のキャラそのまま(笑)の柴咲コウ、「美しい男」の双璧の一、オダギリジョー、ほぼ顔だけでいろいろな表情を作った田中泯、いずれもいい演技でした。

|

« 雑記050908 | Main | 選挙結果 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7081/5874521

Listed below are links to weblogs that reference メゾン・ド・ヒミコ:

» メゾン・ド・ヒミコ [Rohi-ta_site.com]
映画館で、オダギリジョー、柴咲コウ、田中 泯 出演、犬童一心 監督作品「メゾン・ド・ヒミコ」を観ました。 ●ストーリー 塗装会社に勤める吉田沙織(柴咲コウ)は、亡くなった母の医療費を親戚に借り、借金を抱え、風俗への転職を真剣に考えていた。 そんなある雨の日、沙織が勤める会社に、岸本春彦(オダギリジョー)と名乗る、若くて美しい男がやって来る。彼は、沙織が幼い頃に出て行った父親・吉田照雄(田中 泯)の恋人だった。 春彦は、父の照雄が癌を患い、余命が残り少ない事を沙織に告げ、照雄が..... [Read More]

Tracked on 2005.09.14 at 12:27 PM

» 「メゾンド・ヒミコ」賑やかな祭のあと [soramove]
「メゾンド・ヒミコ」★★★☆ オダギリジョー、柴咲コウ 主演 面白そうなキーワード。 ゲイの老人ホーム オダギリジョー、 柴咲コウ。 劇場も公開1週間経った昼でも 7割の入りは上出来。 たぶん予告編も見ていない人が たくさんいたと思う。 普段はあまり...... [Read More]

Tracked on 2005.10.04 at 07:30 AM

« 雑記050908 | Main | 選挙結果 »