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2005.05.10

公共性が求められる上場企業

日経本紙「不正防止へ企業統治監査」。

  全上場企業を対象に、粉飾決算、独占禁止法違反、経営の私物化などを防ぐ目的で、内部管理や意思決定過程の文書化を義務付ける制度を金融庁が設け、会計士による監査の判断材料にする、という。

しかし、会計士による監査がうまく機能しないケースが度々起きた本当の理由は、監査にかかるコストに比べて、その業務に支払われる対価があまりに少な過ぎたから、だったのではないか。少ない報酬の中で実際に中身を検査できる範囲は限られるのだから、アクセスできる情報を増やしたところで、本当の問題解決になるのか疑問が残る。

さらに、少ない報酬を確保するために、顧客企業に不利な結果は出しづらいことも、構造的な問題としてあったはずだ。その点は、この制度で解消するわけではまったくない。
 
 
  この制度新設の背後には、上場企業は私物ではなく公共性の高いものである、という認識があるのだろう。その認識自体は間違っていない。であれば、公共性の高い組織の運営についての文書は、一定時間経過後に公開するという、一般的な方法を検討してみてはどうだろう。

例えば、トヨタ自動車が米国で自動車の値上げをするのは自由だが、10年後にはそのときの意思決定過程が文書で公開される、ということならば、ブランドを大切にする企業の意思決定に、公共性への配慮をより多く反映させることができるのではないか。

株を公開するということは、その利益の大きさに見合うだけの公共性も、同時に求められるということだと思う。


  とはいえ、最も公共性の高いはずの役所でさえ、意思決定過程を文書で残すことは、日本では現在十分には行われていないと聞く。だから、より私性の強い企業がそんな文書を残す必要はないという考えもあるかもしれない。
しかし、それはやや後ろ向きに過ぎる。ニッポンの改革は常に、ほかならぬ私企業から始まるのだから(笑)。

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