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2005.05.16

キングダム・オブ・ヘブン

 これはいい映画だ。真っ直ぐで寛容で実際的なひとつの魂を取り出して見せた映画。その魂に本来の意味でのリベラル(穏健・公正・寛容)という言葉を充てたいのだが、リベラル=左翼進歩派と誤って理解されているらしい現状では避けたほうが無難だろうか。

 いい映画というのは、一言でうまく言えないことが多いから、あまり書かないようにしたいが、米国も本格的に911の呪縛から開放されつつあるとは言っていいのかもしれない。

 映画の筋に沿っていろいろ書いた下書きは全部消して、騎士ゴッドフリーが息子に残した誓いの言葉だけ書いておく。

恐れず敵に立ち向かえ
死を恐れず真実を語れ
弱者を守り正義に生きよ

うーん。現代とはいかにも折り合わなさそうでいて、実はもっとも切実に求められているものかも。


そうそう、映像としての出来は最高です。

[追記]
 これは一応、戦争も描いている映画なので、それについても少し。
 戦争を避けるには、ときには手を汚してでも主戦論者を排する必要があるとの考えは、当然あり得る。だから、その点で弱腰であった主人公には責められるところもあるのかもしれない。
 しかし、彼は西ヨーロッパキリスト教圏の当時の空気を、おそらくはエルサレム王よりも肌で知っていたはずだ。司教を殺害した逃亡者であり、それが理由で父を失うことになった来歴は、それを暗示した伏線とも読める。
 だから彼は、サラセン帝国との全面戦争は避けられないと思っていたのではないか。平和の均衡維持で手一杯だったエルサレム王よりも、その点では先を見ていたかもしれないのだ。そうであれば、暗闘で王位を継いでも維持することはできないと考えたとしても、不思議ではない。
 さて、戦争は避けられないし、目の前の戦闘に勝つことも難しい。そんな状況で彼がとった姿勢こそ、この映画の一番の見所だろう。
 これは英雄譚ではないし、ひょっとすると戦争映画でもない。自国の外でどのように振舞うことが、人として求められるかという、観客1人1人への問いかけなのだ。

 と、私は観ました。

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