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2005.05.05

九州ツーリング記050430


高原の朝は早い。テントを畳んで、黒川温泉に移動。


8:30
温泉宿20軒程度の小さな温泉町だが、このところ名前がよく聞かれる。ひなびた雰囲気で湯布院を上回る人気なのだそうだ。まちに入るとすぐわかるのだが、ここは建物のセンスが総じて良い。まちづくり屋さんが仕事をしているかもしれない。旅館組合インフォメーションセンターに着いてみると、これは間違いなく設計屋さんの手になるものだ。朝早いので開くまで待つ。近くの泊り客が、浴衣に羽織で散策している。紺色の羽織の年配男性と藤色の若い女性が絵になる。一方若い女性二人組は麻色の羽織。話してみると浴衣と羽織は、近くの同じ旅館の泊り客らしい。そういえば、その旅館と同じ外装デザインの宿が多いのにも気付く。このセンスのよさは、街づくり屋ではなくて大地主の力なのかも。麻色の羽織の女性「同じ旅館でも違う色なんです」と言外に泊り客のグレード差別。「ふーん、でもそれお洒落だね」で嬉しそうな笑い。


10:00
観光センターで温泉手形というものを買う。これで3軒まで好きな温泉を選んで入れるのだという。3軒も入ってはのぼせてしまうので、建築が気に入った1軒とやや大きめな旅館風の1軒に入る。湯に格別のものはないが、従業員の応対など見ていると、改めて背後に町全体のブランド戦略のようなものを感じる。小さな温泉町がこれだけ有名になるにはそれなりのものがあるのだろう。ここで地図を見てふと気付く。ここって行政区分上は小国町なのかな? それで納得。が、町全体でマーケティングをやりすぎると鼻につくから注意が必要。地場の人の素朴な心情との葛藤があるうちはなおさら。都市住民は作られたものを敏感に嗅ぎ分ける(笑)。


13:00
というわけで小国町に移動。建築屋さんには有名な木造立体トラスの小品を見る。逆円錐台総ガラス張りのこの建築は、今は道の駅として使われているようだ。木材のひび割れが年月を偲ばせる。背割りは入れなかったんだな・・。この補修はどうやるのだろう。完全静定構造だと部材1本取り替えるのも難しいはずだが、見たところ不静定・・かな? 土産品の「小国ジャージー牛乳飲むヨーグルト」350mlを一気飲みする。濃い。旨い。コンビニで売っている水のようなそれがニセモノであると知る。ほかに小国ドームと木魂館を見る。


14:30
阿蘇へ移動。独特の地形が新鮮。外輪山外側の山裾は普通になだらかだが、上りきると高原台地の草原となっており、これがまず珍しい。カルデラの内側に入る途中の峠からはさらなる奇観。台地がカルデラの内側に向かって途切れ、切立った崖となって火口原まで一気に落ち込む。火山博物館の説明をそのまま借りれば、大陥没の凄まじさを思わせる。火口原はあくまでも平らに、鉄道が走り、田畑が開け、中央の5つの火口丘まで続く。
その火口丘だが、残念なことに先月から警戒レベル3だとかで、ロープウェイも動かず。道路も上の方は通行止め。阿蘇は活火山なのだった。
火口丘の裾に開ける草千里を見る。北海道は向こう側が無いが、ここは、はるか向こう側に火口丘が聳えていて、そこまでの間が草原一色というもの。地平線まで際限の無い広がりを弛緩した広大さと呼ぶなら、これは緊張感のある広大さというか。そういうものをはじめて見る。満足。


17:00
白川に移動。遊水の里でキャンプ。里全体がよく手入れされている。豪農とまではいかないが豊かな暮らしぶりを思わせる家の並びがあり、庭など美しい。中の1軒が表向きにコンビニを営んでおり、入りついでにトイレを借りてみると若奥様が家の中のトイレを案内してくれる。途中で見えた中庭がまたよくできている。こういう豊かな生活もありだなと思う。
里に点在して水源がいくつかあり、そのひとつ、明神池なるものを見てみる。管理人だろうか、年寄りが由来など話してくれる。阿蘇に降った雨が200年ほど経て湧き出してくるそうだ。柄杓で一口飲ませてもらうと200年前の雨の粋はやわらかい味がした。
日が暮れて蛙とこおろぎの合唱の中シュラフにくるまっていると、遠雷が聞こえる。通り雨のような降り方で、時折雨粒も落ちてくる。明日は雨か。

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