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2005.01.10

ネットのあちら側は深く静かに。

IT産業の潮目が読めぬ日本勢 モノづくりの強さ過信を危惧す

 ここ一、二年、「IT産業における日米の関心が明らかに違う方向を向いたな」と感ずることが多くなったのだが、それは、日本が「こちら側」に、米国が「あちら側」に没頭しているからなのである。これを現象面でだけとらえれば、日本と米国が独自の特色を生かして棲み分けているわけで、悪いことではないようにも見える。しかし事の本質はそう簡単ではない。「こちら側」と「あちら側」が、いずれ付加価値を奪い合うことになるからである。
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 インターネットの「こちら側」とは、インターネットの利用者、つまり私たち一人一人に密着したモノの世界である。パソコン、携帯電話、カーナビ、コンビニのPOS端末、高機能ATM、薄型テレビ、DVDレコーダー、デジタル・カメラ、そしてこれからは無線ICタグ。皆、インターネットと私たち一人一人を結びつけるつなぎ目の部分に用意するモノである。

 インターネットの「あちら側」とは、インターネット空間に浮かぶ巨大な「情報発電所」とも言うべきバーチャルな世界である。いったんその巨大設備たる「情報発電所」に付加価値創造の仕組みを作りこめば、インターネットを介して、均質なサービスをグローバルに提供できる。
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 米国が描くIT産業の将来像は、付加価値が順次「あちら側」にシフトしていき、「こちら側」のモノはコモディティ(日用品)になる、誰でもいいから中国で作って世界に安く供給してくれればいい、というものだ。

梅田さんがここで言う価値とは何だろうか。久しぶりに再考してみる。
 ①情報の関所であり、通行税のかたちをとる。
 ②メディアであり、広告料のかたちをとる。
 ③公共空間であり、人々の考えを深く静かに規定する。

いずれも、自らモノを生み出すのではなく、人の行動を左右する情報を作り出したり制限したり、その流通を管理するものだ。

  ①と②はネット上に現在もある。それだけなら、検索ポータルがこれほど評価されることはないだろう。
  問題は③だ。essaさんが書いていたように、googleは一種の権力でもある。それはTVがそうであるのと同じようにそうなのだ。そして権力の周りには、利益を生む機会が自然に集まってくる。権力の主体は、その中から権力を強化しかつほどほどの利益をあげられるものを選べばよい。選択を間違いさえしなければ既得権として長生きできる。

  いちばん簡単な方法は、価値基準を自ら作り出し、それに沿って「価値あるもの」を提供してしまうことだ。ほとんど無から莫大な利益を生むことができる。千利休が肥壷を名器であるとして高く売ったという逸話のように。

いずれgoogleはそうした方向へ進んでいくのではないか。と、勝手に予想してみる。


  しかし、私は思うのだけど、そうした永続化しそうな権力を解体するように働くのも、ネットというもののもうひとつの作用ではある。現にブログは、書き手が自律的にTBつながりをつくることでgoogleの出力に影響を与えているし、SNSは検索エンジンに頼らない情報伝播経路を形成すると思う。

  米国人が考えているようにことが運ぶかどうかは、オープンソース運動とたぶん同根の、そうしたネットの別の一面を、彼ら自身がどう扱うかに左右されるのではないか。

んー。はずしているかな。

 東芝と富士通とNECの時価総額を全部足し合わせても、創業からたった六年、わずか二千七百人のグーグルの時価総額に及ばないのはなぜか。いったいグーグルとは何なのか、その台頭は何を意味するのか。本来そう問い続けなければいけない日本企業の経営者が、インターネットのことを何も知らない。米国離れを起こしている場合ではないのである。
  少なくとも考えることは必要だ。その上で、モノと不可分に結びついた価値を提供できるなら、そちらへ邁進すればいい。「あちら側」なる価値をモノの中に封じ込めて、売りやすい形にして売ろう、くらいのことは、モノづくり好きな日本人なら、考えてもおかしくない。

[追記]2005.01.14
こちらのエントリが、あちら側とこちら側を詳しく解説してくれている。どうも私は引用を間違えたらしい。というか、いつものように脱線したのだけど、「脱線します」のアナウンスをし忘れたので、文のつながりがおかしくなってしまった。
相変わらず下手だなあ(泣)。

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