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2004.12.26

ソフトウエア開発ノウハウと海外委託

  日経本紙「海外委託の紛争回避 総務省が指針 契約書などに基準」
  記事には「日本企業に提供する契約書の指針をつくる」とある。具体的には「中国やインドのIT企業も集めて研究会を発足」だそうだ。

  他国のIT企業との間で、ソフト開発の成果の分配について合意形成ができるのはいいことだ。しかし、相手国の法体系が、それを可能にするようになっているのかどうか気になる。あくまでも想像だが、むしろ日本が譲歩を迫られるような場面も出てくるかもしれない。
  それはそれで、ソフト開発における世界標準の法的環境が形成できればよしとすべきなのだろうから、日本の役所が音頭をとっているからといって、日本のIT企業にだけ都合のよい案に無理にまとめることは避けてほしいところだ。

  記事には、「開発過程で得た技術的なノウハウも発注した日本企業に帰属することを明記するよう求める」とあるが、どのような線引きが可能か疑問も感じる。ノウハウというのは通常、現場で開発に苦労した者にかなりの部分が帰属するように思うからだ。
  業務フローについてのノウハウにしても、そこで得た知識を開発者が他社との取引で利用することは、避けられないと思う。それを否定することは、開発者に対して、頭脳となることを許さず、いつまでも手足でいるように強制することであり、向上を求める人間の基本的な性質に反するからだ。

  なにより、中国やインドのIT企業が、日本企業との開発過程で得たノウハウを、同じ日本の別の企業が、対価を払って利用できるようになるのであれば、それは国内の産業振興にも役立つはずだ。国内のITゼネコンが、さしたる技術でもないものをブラックボックス化することで得べかりし利得をあげ、引き換えに国内産業全体の効率化や発展を阻害することと比べてみるとよい。
  技術やノウハウを開放し、より安価に提供できる競争者を世界中で育てることは、実は日本全体の利益につながるのではないか。

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Comments

中国、インドなどのIT企業が力をつけていることに対して、国が焦りを感じているのではないかと思います。

企業側としては、契約だけに頼るのは危険でしょう。オフショア開発に限らず、国内企業への外注の場合もそうですが、ノウハウの流出を避けるためには、具体的な工夫が必要なはずです。

私は、今回の国の動きは、国としての姿勢を内外に示した程度の影響しかなく、結局、企業は自分で自分を守る以外に無いと思います。

残る課題は、苦労して先頭を走った企業が報われることとの両立ですね。
かつて、苦労してTFTを開発したシャープが、市場に出した途端に、アジアメーカーに模倣されて十分な投資回収ができなかったこともありましたし。

Posted by: TAGASHIRA | 2004.12.30 at 12:21 AM

先頭を走った者が報われることは大切ですね。と同時に、先頭を走ったものが生み出した価値は、秘匿されるのではなく、世の中のために生かされる必要もあると思います。
昨今の著作権絡みで持ち出される所謂 fair use の考え方です。
使用料などのかたちで開発者や開発企業が報われるのと引き換えに、その知的財産が多くの企業で生かされて、それが他の業界に対するサービスを向上させるのが、理想ではありますが望ましいことだと思います。

Posted by: hski | 2004.12.30 at 06:22 PM

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