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2004.11.30

値付け

それは本当に難しい。

  近所のスーパーは、同じものの値段がころころ変わる。日により時間帯により大きく変わる。例えば、昨日は80円だったリンゴが今日は130円。さっきまで1個50円だったみかんが、タイムセールとかで突然10円。なんだそれ。

  こうなると、正価というものの正当性や信頼感はほとんどなくなる。これは3つの点で売り手にとって問題がある。

  一つは、買う側に待ちの気分ができてしまうことだ。もっと待てばもっと安くなると思えば、今買おうという気持ちが薄れるのは当然だろう。

  二つ目は、価格が最大の訴求点になってしまうことだ。目の前できょろきょろ変わる価格を見ていれば、どうしてもそれに注意が向き、品質や性能には目がいかなくなる。粗悪なものを騙して売りつけようというのならともかく、いい品やサービスを提供することで、人様の役に立とうという志があるのなら、価格だけが唯一の尺度になるような状況は努めて避けるものではないか。

  三つ目は、買い手に余計な負担をかけることで、意図せずに客足を遠ざけてしまうことだ。価格が猫の目のように変わるとなると、客の方も常に注意したり考え込まなければならなくなる。単に負担が増すだけでなく、どんなに注意していても、やはりもっと安く買えるのではないかという疑心暗鬼に囚われ、いい買物をしても気分が滅入るという結果を招くことになる。そんな買物を楽しんだり喜ぶ客がいるだろうか。いずれその客は他の店により多く足を運ぶことになるだろう。

  確かに、価格が最大の競争ポイントである商品はあるだろう。日用の食料品はそれに近いかもしれない。しかし、そうではないもの、価格よりも重要な訴求点を持つ商品もたくさんあるはずだ。ところが、そうした非価格訴求商品まで安易に値引きに走るのを目にすることがしばしばある。
  これには、競争による価格破壊とは少し違う側面があるように思う。むしろ社内事情が関係しているのではないか。営業担当にとっては、それで売上があがるならという思いがあるのだろうとは思う。広告宣伝担当にとっては、それが話題性を捻り出す最も簡単な方法であることも理解できる。

  しかし、それらはやはり、厳しく見れば、無責任かつ安易な社内事情と言わざるを得ない。売り手としての企業にとって、無意味な値下げは益よりも害の方が大きい。

  意味を感じさせる値付けというものは、本当に難しい。

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