野菜出荷の「奨励金」
野菜の値段がなかなか下がらない。キャベツもレタスも手が出ない。トマトで凌げるので、まあ致し方ないで済んでいるけど、チキンサラダ(レタス)もお好み焼き(キャベツ)も作れなくて凹む。
そんな折、10日くらい前になるが、「農水省、野菜高騰で対策・早期出荷などに奨励金」という記事を見かけた。
記事によれば、農水省が、農家が野菜を早期に出荷するよう奨励金を出すとのこと。それによって出荷量を増やすのが目的だそうだ。この理屈がよくわからなかった。
台風被害で野菜がだめになったのであれば、それは日本の農業が今年出荷できる総量が減ってしまった、ということに他ならないはずだ。出荷時期を早めたところで、総量が不足することに変わりはないと思う。傷ついた野菜でも出荷すれば総量は保てるというのは、あまり納得のいく説明とは思えない。実際、街中でも、傷はあるけれど安いという野菜はついぞ見かけない。
流通総量を例年通りにする方法は、当然だが、輸入以外にないのではないか。
もちろん輸入も含めた日本の野菜の流通について詳しいわけではないので、何かが障害になって、簡単ではないのかもしれないけれど、少なくとも、国内出荷時期をどうこうすることで総量の問題が解決するはずはない。
そう考えると、農水省の本当の意図は、「出荷量を増やすために奨励金を出す」ことではなくて、「傷ついてしまった野菜でも例年通りの値段で買い取るために補助金を出す」ことなのではないかと勘ぐりたくなる。そして、街中の状況から推測するに、その傷ついた野菜は、市中に出回らずどこかへ消えているのではないか。流通量は増えないから、価格の高止まりもそれで説明がつく。
この推測がもし当たっているとして、なるほど農水省の本来の役割は、消費者の利益保護ではなく、農家の利益保護であってみれば、今回の「奨励金」なるものも理解できなくもない。それは一種の所得補填だから、別の視点から批判を受けることはあったとしても、農水省の当面の目的には沿っている。やめてほしいと思うのは、そのよくわからない理屈のつけ方だ。
農水省もそろそろ、世代が代わればセンスも変化してきそうなものだが、どうなのだろう。
余談だけれど、この件は実は書かずに済まそうと思っていた。農業関係をライフワークにという散人さんのところで、的確な知見を教えてもらえると思っていたからだ。しかし、なぜか今日になってもこれ関連のエントリがない。こちらでも書かれているけど、少し心配。
勝手な憶測をしてしまうけど、昔の仕事仲間から苦情を言われて困ったりしているのだろうか。宮仕えの人には、引退したといってもいろいろ気苦労があるのかもしれないな。まして相手は、住専問題で垣間見えたように、徹底的に陰に隠れて圧力を行使する性質の人達らしいし。
私もこのところ人に甘えすぎ。寸胴鍋よりも圧力釜よりも深く反省。
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Comments
とおりすがりです、おはようございます。
私は別な理屈をこねて納得しました。なるほどこんな意見も有りですかね。
キズ野菜の出荷は通常どおり行われると、消費者や仲買人らのその産地のこれまでの出荷商品レベルや商品イメージを破壊しかねません。「疵物は出せない、家で食う」「こんなの出したら買ってもらえない、叩かれる」という心理は出荷農家にあると思いまして。
それほどまでに普通の消費者はキレイなものばかりを手に取らされているというか、手に取っているというか。
奨励金なんて妙な手段を捻り出したのはこれらが、「特殊事情だから」をことさら強調するための方便なのかなー、とか。
まー実際はどうなんでしょうね。なんじゃそりゃと私も思いましたもの。では。
Posted by: -den | 2004.11.12 09:15 AM
なるほど。それはありそうですね。いずれにせよ、奨励金で疵物を買い取ることで、農家には恩恵、ということなのでしょう。消費者としては、その金で外国から安い野菜をたくさん輸入できないのかとは思います。
農家への所得補填は、災害対策の名目で堂々と出すのが筋の通ったやり方かと。
ところで、マスコミはそれっきりで、野菜の高騰が続いていることに何も意見はないらしいのが不可解ではあります。
Posted by: hski | 2004.11.12 08:46 PM