2046
映画自体はあまり面白くはなかった。もう少し正直に言うと、退屈だった。途中3回ほどあくびと伸びをしてしまったほどだ。
しかし、映画に没入する必要がなかったおかげで、かえって中国の今をいろいろと空想することができた。その意味で、閑散とした映画館の暗がりの2時間は無意味ではなかった。
新聞等で垣間見るかぎり、中国の沿海部は高度成長のまっただなかにあるかに見える。かつて日本も通ってきた道だ。その過程ではずいぶんいろいろなものが置き去りにされて、滅んでいくのだろう。日本では、それは田舎の美しい風景や風習であったり、細やかな人の心であったりしたかもしれない。私はそれらを、たぶん一度は持ちかけて、しかし置き去りにしてきたものだから、今となってはよくわからない。
中国という国では、その置き去りにされるものは、一体何だろうか。彼の国のことをまるで知ずに言うのは間違うおそれが大きいが、あるいは日本人が失ったものとまた異なるのではないか。
この映画が描く中年男・・月初めには友人を集めてご馳走する金を持ちながら、月末にはほぼ無一文。女遊びや宴会を楽しみながらも、醒めた目を失わない。自分がいつの間にか恋してしまった相手が日本人サラリーマンと結婚する仲立ちをしてやるような、優しく寂しい男。
それは、中国が、激しい経済成長の中で、失っていくかもしれないものの、ひとつの象徴であると空想してみることはできないか。
そう考えると、爆発的な経済成長を既に終えた国の人間として、木村拓哉が短時間でも登場することには、意味があると思える。先にいった国の人間を見ながら、自分達はどうすべきか、同じ道を追いかけるのか、それとも別の道を発見するのか。中国の人たちは考え続けているに違いない。
この2046という映画をどう観るかは、前編にあたるらしい「花様年華」を観た人、木村拓哉の追っかけの人、未来SF風映像に期待しながらの人、それぞれに違うだろう。
私の観かたは、少し風変わりだったかもしれない。
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