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2004.09.26

生産性向上にあたって考えること

  「前川徹『ソフトウェア最前線』」の書評があった。最前線のことはよく知らないのだけど、ソフト産業のことは概ねそうなんだろなと思う。一時、人月単価制をやめよという議論があったけど、その後どうなったのだろう。

この前読んだ、西村清彦・峰滝和典『情報技術革新と日本経済』で「1990年代日本経済の問題のひとつは、広義のサービス業でITの生産性上昇をもたらしていない点で、その典型が、ソフトウェア産業である。」という指摘・・・
紺屋の白袴と揶揄されていたこの点も、改善したという話しは聞かない。

  ソフトウエア産業においては、ソフト製造技術の未熟が原因で、新しい試みには許容範囲を超えるリスクがつきまとうという事情があるのだろう。けれども、ことは必ずしもソフトウエア産業に限った話しではない。試行錯誤や敗者復活、新陳代謝、そうしたことを嫌う空気があるところでは、どこも同様の問題を抱えているのではないか。

  ここで私の考えは思わぬ方向に脱線する。では、そもそも生産性向上があまり効果的ではない分野なら、現状維持戦略が有効なのではないか。いわゆる成熟産業と呼ばれる分野。あるいは、職人的技量が価値の大半であるような分野ではどうなのだろう。

  成熟産業においては、聞くところによると状況を突破する企業もあるそうだ。軽作業請負業、ブライダル産業など。研究したわけではないが、方法はおおよそ見当がつく。
  職人の世界ではどうか。これは生産技術がいずれは取って替わってしまうだろう。米粒に字を書くレベルの技量を取り上げて、人間も捨てたものではないという主張がときどきあるけれど、その職人さんが0.9ミクロン幅の回路図を描けるわけでもない。市場規模がさほど大きくない分野は目こぼしされているだけのことだ。生産技術が陳腐化して低廉になれば、あらゆる分野にその技術が押し寄せていくことになるだろう。

  そう考えると、生産性向上が有効に働かない分野というのは、ごく限られると思えてくる。どんな分野でも生産性向上は必須のようだ。考えるべきは、生産性向上の理由付けと、それを受け入れる人間のモチベーション維持の方法だ。

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