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2004.08.12

花摘む人

  「花摘む人
  文筆業を中心とした都会的な職業から農園主に転じて10年を経てきた著者が、今度はワイナリーを立ち上げるお話し。農業成立の難しさと、それにも関わらず、経済性だけでない「生活」としての農業に魅かれ、著述業などの収入を補填しながらチャレンジを続ける著者の奮闘が読める。


ワイナリーの設立趣意書の中で、著者はこう言っている。

いま必要なことは、地域に帰ってその土地に根差した活動をすることだ。・・・その土地でできる農産物を限られた範囲で流通させるシステムを再構築して、工業的生産ではない、生活の営みとしての農業を復活させること。・・・田園で暮らすことが理想のライフスタイルであることを実践によって示すこと。
スローライフには憧れるけれども、しかし単純に同意できない点もある。都市を中心に加速する商品経済に囲まれて、いまさら農本主義に返れるだろうか。一時的には成立するように見えて、比較的短期間のうちに破綻するのではないか。

とはいえ、次の一文には深く頷くほかない。

ワインは同質の中での差異や優劣を争う競争ではなく、多様な個性の展開とその違いを理解する愉しみなのである。まさしく、農業の営みがそうであるように。
農業に限らず、何か本源的なものや永続性のあるものを創り出そうとするときは、常に噛みしめなければならないことばだ。これを見失っては、微差の追求に明け暮れる商品経済の渦に、たやすく飲み込まれてしまうだろうから。

著者の試みが軌道に乗ることを祈りたい。

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