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2004.07.03

パソ通時代とは異なる匿名性の危機

  パソコン通信時代と現在とで、大きく異なる点を指摘したい。それは、IPv6の導入が間近になってきたことで、これまでプロバイダによって保たれていた匿名性が、失われる可能性が高まってきていることだ。

  ご承知のとおり、IPの世界ではアドレスを辿れば発信者をほぼ特定できる。にもかかわらず、現在のネットで匿名環境が保たれている理由は、ひとえにプロバイダの都合による。
  プロバイダは、リソースの制約という理由から、利用者がアクセスするごとにIPアドレスをランダムに割り当てて、その記録は原則として保存しない方式をとっている。そのことが、結果としてネット上に匿名環境を一時的に作り出しているだけなのだ。ネットの匿名性は、単なる偶然の産物に過ぎないと言ってもよい。

  ところが、IPv6が導入され、かつ、ネットに常時接続する人が多くなれば、プロバイダは、もはやIPアドレスをランダムに割り当てる必要がなくなるので、一利用者に対して一固定アドレスを割り振る可能性が高い。その方がシステムがシンプルになり、管理運用のコストが下がるからだ。

  その結果、これまで前提としてきたネットの匿名環境は、完全に、あっけなく、失われることになる。
  さらに、現在のパソコン等を使った接続だけでなく、家電製品がIPv6固定アドレスをそれぞれ埋め込まれてネットにつながるようになれば、そこには、はじめから匿名環境などというものは存在しない。家電メーカーがわざわざ匿名環境をつくりだそうとする理由もない。

  ネット上の空間がすべて実名環境だけになる日が、現実に見えてきているのだ。匿名環境についての議論は、その日がタイムリミットであることを、忘れないようにしたい。匿名環境を残したいと考えるなら、意識してそれを作り出すことが必要だ。
  プロバイダに護られていたパソコン通信の時代とは、違うのだ。

  考えすぎかな? あるいはどこか間違いあればフォローお願いします。
 
 
[追記]2004.07.04
  拙い書き方で誤解を招くかもしれませんので、多少補足します。
  素直な形でIPv6化が進むと、ネット上は「実名しか許さない」空間になりそうな予感がするので、その点で、プロバイダによって匿名性がある程度保障されていた時代の実名/匿名の議論とは前提が異なる、という趣旨で上の記事を書いています。実名・匿名のどちらかに賛成・反対という話ではありません。

  なお、背景として私の考えを簡単に確認すると、「実名しか許さない」も「匿名しか許さない」も、どちらも反対です。実名、匿名が選択できて、共存していることを希望します。
  また、ここで言うプロバイダとは、利用者の住所氏名口座情報を把握し、IPアドレスの割り当てを行う接続プロバイダを指します。2ちゃんねる等のアプリケーション事業者ではありません。
 
 
 
[追記2]2004.07.07
その後さらにIPv6に関する記事を読んで、プロバイダの動きによらず、IPv6アドレスからパソコンは特定できてしまいそうだということがわかり、匿名性の危機はさらに深いことがわかりました。詳しくはこちらの記事にて。

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