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2004.05.15

Winny作者の逮捕 まとめ

  Winnyの件は、あれこれ考えて、やはり以前書いたアウトラインから大きくブレることはないと思うので、簡単にまとめます。

  私は、実名と匿名の両方の環境を、利用者の選択肢として並存させるべきと思います。それがまず、第一に重要な主張です。
  社会における様々なコミュニケーションは概ね実名で行われます。そのため、信頼できる実名環境をつくることがネットの発展には不可欠です。その一方で、ネットは強力な監視装置として、個人を不当に抑圧する道具にもなり得ます。それを避けるために、匿名環境も不可欠なのです。
  そして私たち個々人は、実社会において行っているのと同様に、実名と匿名の環境を、賢く使い分けなければなりません。

  次に、著作権について。著作者の権利は尊重されなければなりません。権利者自信の許可なしに、何の対価も払わず無制限にコピーしていいという理屈が成り立たないのは自明だと思います。ただし、その対価の額や支払い方法は、利用者との間で市場によって決まるべき、とも思います。
  現状は、法律によっていろいろな制約や保護が加えられ、歪みが大きくなっていると言われています。そうであれば、法律を修正して対処すべきでしょう。法律を作るにあたって、政治力が強い側の考えが反映されがちなのは当然です。しかし、アンバランスが消費意欲の減退につながるほど大きくなれば、結局は平衡点の近くに戻って来ることになるでしょう。対価の払い手が居なくなっては元も子もないのですから。
  著作権に対する対価のありかたという問題は、比較的短期間でバランスを回復する仕組みを内包しており、さほど心配する必要はないと私は思います。

  3つめのP2P技術について。この分散型の技術は、中央管理型に比べて個人情報保護に向いた仕組みである点に注目したいと思います。ネット社会において個人情報を保護する必要が高まっている中で、この技術開発は強く推進すべきです。


  以上がアウトラインの確認です。
  以下は、今回の逮捕の雑感です。

  winnyの件は、匿名性に対する制限が、著作権侵害を口実に、P2Pインフラを舞台にして加えられたものと捉えたい。以前にも同様の制限が、名誉毀損を口実に、2ちゃんねるを舞台にしてありましたが、構造はよく似ています。

  一連の逮捕は、実名環境と匿名環境のバランスが崩れ、匿名環境が悪用されることを牽制する意味があったと受け止めたいと思います。過剰に反応したり萎縮したりする必要はありません。


  インターネットは元来、IPアドレスを辿れば発信者をほぼ特定できる仕組みですから、現状のような匿名環境は、一時の幸運によるものかもしれません。実際、IPv6が普及して、IPマスカレードもNATも不要になれば、動的アドレス割り当てが廃止されれば、匿名性はいとも簡単に失われるかもしれません。

  しかし幸運だったこの時期に、私たちはネットでの匿名性を経験し、その弊害と有用性を学びました。現在、弊害を重視して匿名性を制限すべきという立場と、有用性を重視して匿名性を護るべきという2つの立場があります。私は、2つの立場は使い分けによって両立するし、またさせなければならないと思います。

  実社会におけるのと同様に、実名と匿名は両方とも必要な環境であり、バランスをとりながら賢く付き合っていきたいものです。そうすることで人生が、陰影も含んだ豊かなものになると期待したいと思います。

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