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2004.02.12

「選択と集中」対「リスク分散」

  吉野家の牛丼が販売休止になるそうだ。話題性があるのかもしれないが、日経の一面に入れるほどの話なのかやや疑問を感じる。
  それはさておき、この件は、経営書などが礼賛してきた「選択と集中」のデメリットを示している。(営業)利益率20%は立派な成績だったが、牛肉調達ルートのリスクが裏にはあったわけだ。
  事後的に、リスク分散すべきだったという議論や主張は、このケースでは無意味だと思う。リスクをとり、リターンを得てきただけのことなのだから。

  目を転じて、同じ大衆向け飲食業のドトールコーヒーを考えてみる。180円低価格帯の「ドトール」と250円中価格帯の「エクセルシオール」の2系列を展開している。以前、スターバックスが日本に上陸した折に、ドトールの社長さんの「エスプレッソが250円で需要があるとは(誤算だった)」との発言が新聞に載り、同時期からエクセルシオールの展開が始まったわけだが、ではエクセルシオールに一本化するかというと、そうでもなさそうだ。
  こちらは、リスク分散のひとつの手法と見ることができるのではないか。利用客層がどちらの系列に流れるのかは、時代と共に変化するのだろう。もし中価格帯のエクセルシオールに一本化した後で、低価格帯に需要が流れたら、その需要を逃がしてしまう。その点、価格帯の異なる2系列を維持しておけば、取りこぼしを防げる。
  もちろん、低価格帯だからといって、そのまま低価格に甘んじていてよいわけではない。ドトールでは、従来の180円を「Sサイズ」と言い換えて、新たに230円の「M」、さらにその上の「L」などのメニューを設け、店員が必ず「普通サイズのMでよろしいですか」と念押しをしてくるようになった。顧客単価をなんとか上げようとの努力なのだろう。
  低価格志向の需要の受け皿を残しつつ、(客に隙があれば)中価格の商品を買わせようという、抜け目無く粘り強い戦術だ。ドトールの方法の方が、リスクを分散しつつ、利益も上げていく点で、安定性、継続性には勝るといえる。

  とはいえ、客の方としては、いつもいつも「Mでよろしいですか?」「いや、Sをください」と言い返さなければならず、うっとうしいことこの上もない。もうドトールはやめて、ベローチェかサンマルクカフェに絞ろうかな。(笑)

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