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2004.01.08

日本国憲法のよみ方

  このところ、憲法改正への動きが表面化しているらしい。また、とても気になるのだが、TVのアナウンサーの口から、「敵のミサイルを打ち落とす」うんぬん、という表現が近頃しばしば聞かれるようになった。「敵」って一体誰なんだ。そんなに気安く誰かを「敵」呼ばわりしていいのか。どうも不穏な傾向だ。
  と、漠然と不安に思っていたら、図書館で、改憲反対の意見がわかりやすく書かれている本を見つけたのでメモ。

Q&A 日本国憲法のよみ方」 弓削 達 監修  反改憲ネット21 編  明石書店

  この程度のことも私は知らなかったですよ。でも理系の人たちはたいていそうなんじゃないかなあ。。(違っていたらごめんなさい。私の思い込みに過ぎないことを期待します)。
  この本は、とっつきやすくて、本質を平易に書いてあって、おすすめできる。このレベルの内容を平易に書くというのは、簡単そうに見えて実は難しいことなんだろうな。内容の重要そうなところを、自分なりの理解に基づいて、簡単にメモ。

▼憲法は、国民が国家に課すルール。
  私は、去年これを知るまでは、「憲法は法律の親玉」という、ずれた認識しかなかった。法律が、国家(権力)が国民に対して課するルールであるのに対して、憲法はその国民が国家に課すルールであり、両者は本質的に異なるものだ。そして、法律が憲法に違反してはならない点で、憲法は法律の上位にある。
▼「現憲法は米国の押し付け」主張は明らかな間違い。
  著者によれば、当時の政府憲法調査会が作った草案は、明治憲法をほぼ引き写したようなものだったので、GHQは政府に対して、GHQ草案と憲法調査会草案の両方を公表し国民投票で決めるという選択肢も示したが、政府は国民投票をきらい、自らGHQ案を受け入れた、という。なんのことはない。国民投票に掛けられて、政府案があからさまに否定されるのが嫌だったのか。押し付けられたと感じたのは、国民ではなくて、支配層である政府の人たちだったわけだ。
▼軍隊が守るものは、国民ではなく、そのときの支配体制。
  太平洋戦争のときの日本軍はまさにそういう印象がある。主権が天皇にあるという憲法のもとでは、それは当然の行為とされたのだろう。現憲法の下では理屈上は違うはずだが、現実に戦争になればどうなるか分からない。
▼万一攻められたら。。
  著者はこれに対して、侵略戦争を起こす側の不利益をあげ、現代政治において蓋然性がないとして、「攻められたら」を議論の前提に置くことに疑問を投げかけている。それは妄想か、あるいは危機感を煽ることで利益を得ようとする人たちのプロバガンダだというのだ。
  なるほど、煽りの部分もあるかもしれないが、私はやはり不安を覚える。この不安は、今の国境が、県境に感じられるくらいに世界が身近になるまでは、ついてまわる感覚だと思う。
▼それでも万一。
  著者は、それでも万一の場合にもきちんと言及しており、非武装、非暴力の市民的抵抗によって対処することを唱えている。その実例として、「プラハの春」におけるチェコスロバキア市民の行動をあげている。私は、自分にそうした行動をとる勇気があると思いたいが。。どうかな。実際にそう綺麗にはいかないかもしれない。
▼新しい人権の導入という餌。
  「知る権利」「プライバシー権」「環境権」などを新しい人権として憲法に明記すべきとの提案があるらしい。著者は、それらの諸権利は「知る権利」を認めた最高裁判決に見るように、法律でも保障できるので、憲法改正の理由とする必要はないとしている。むしろ、それを足掛かりに、改憲を既定路線にしようと意図する空気が問題だという。私はそれに同意するけれども、改憲の議論が始まったのなら、これらの権利について検討することはかまわないと思う。あくまでも順序を間違えないことが肝心。
▼「公共の福祉」から「公共の利益」への言い換え。
  前者は、他人の人権を侵害するときは個人の自由は制限されることを言っているのだが、後者は、「公共」の意味を「国家」にすり替え、国家(権力)による人権侵害を容認しようとする意図があるのではないか。わざわざ言い換える必要はないのではないか。
  そんないんぼーがあるのか。姑息だなあ。いかんですよ。
▼首相公選制。
  人気投票になりかねない。その結果、個々の政策で民意に反することが行われる弊害がある。また、地方自治体の首長と異なり、リコールも容易ではないので、暴走したときに歯止めを掛けにくい。もっとも、この問題の真の原因は、国民の政治に対する関心の低さなのだが。
▼「住民投票は住民エゴ」「民主主義の暴走」。
  民意に従った政治を行うには、たまの選挙だけは十分でない。選挙はそもそも、直接には、代表者を選ぶものであって、細かい政策の是非を問うものではない。重要な政策を国民がチェックする仕組みとして、住民投票は国民主権の理念にかなったものだ。「住民投票は民主主義の誤動作」との主張は、国民の政治参加を否定するものであり、「政治の誤動作」をもたらす。
▼靖国参拝の問題点。
  政教分離原則に反する。また、A級戦犯(戦争指導者)に対して祈りを捧げることになる。ドイツの首相がヒトラーを祀ったりするだろうか。さらに、国家が国民の死に方を差別することになる。靖国に祀られているのは、軍人軍属等だけで、空襲で亡くなった人や官憲の拷問で殺された人は含まれていない。片方だけに祈りを捧げるのは、どうか。

  以上、取り上げなかった項目もあるが、大雑把にまとめてみた。
  関連して思い出すのは、ヤンキースの松井秀喜だ。彼は、渡米して飛行機を降りたその足でグラウンド・ゼロに行ったそうだ。それについてTVのインタビューがあった。そのときの彼の言葉を要約。「やっぱり平和を望みます。自分が野球をやれるのも平和だからなので。戦争はいやですね。」

  当然ながら、一方の意見だけ知るのではなくて、改憲賛成の人の意見も読まねば。小沢一郎の書いた本なんか読んでみようかな。

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