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2003.12.20

企画屋の反省

  おくればせながら、ココログサービス開始おめでとうございます。この機会に、ある企画者の無念と反省を、記録しておきたいと思う。

  Weblogサービスの企画は、弊某ISPにもあった。企画者はなにを隠そうこの私。時期も、ココログの企画が持ち上がったとされる今年の6月。企画内容も、MovableTypeまたはTypePadの導入、とほぼ同じ。
  そして今年もあと10日を残すのみとなったいま、結果はどうか。ココログは立派にサービス開始。一方某ISPでは、初期段階で否定。企画担当者は。。まあそれは書くのはやめておこう。もう辞めた会社のことだ。しかし、なぜこうした違いが生まれるのか、反省を込めて記録しておくのは有益だと思う。

  反省に先立って、まずは某社の状況を概観しておきたい。某社は老舗ISPとして、ダイアルアップ時代から継続して、接続サービスを磨き上げる点に集中することで、堅実な売り上げと利益を上げてきている。しかし、ネット普及速度の鈍化に伴って、利用者数は微減、利用単価は、接続サービスだけなので上がりようがない。こうした状況は所謂「じり貧」だと思うのだが、経営陣にその意識は薄い。「お客様満足の高い接続サービスを提供していれば必ずビジネスはうまくいく」の言葉をある意味で誤解し、新しいサービスにチャレンジしようとはしない。その一方で、電話サポートとバックオフィスに力をいれる。
  だが、5年前ならともかく、通信キャリアが大きなシェアを占めるようになったネット接続事業で、某社が自ら頼むところの「スムーズな接続」「安価な料金」「親切なサポート」「基本機能の充実」「課金システム」などは、既にどの企業でも標準になってきている。いや、大手通信キャリアでは、某社の上をいく水準でサービスを行っていると言ってもよい。現に私は某社を含めた複数の事業者のアカウントを利用しているが、どちらかといえばキャリア企業のサービスの方が質が高い。特にメールやWebなどの基本サービスについて、それが言える。
  確かに、某雑誌でのお客様満足度調査では、某社は満足すべき位置にいるが、そもそも、差別化がほとんどできない事業領域で、お客様満足にさほどの差は生まれない。満足度調査の結果は、そのISP利用者が投票しやすい人達であるかどうかに左右される要素が大きいのではないか。その結果を過信することは禁物だ。
  おそらく某社は、接続とコンテンツは別企業がそれぞれに行うべきものと捉えているのだろう。しかし、資金力のある通信キャリア系は、コンテンツの囲い込みを図り、接続事業者からメディア事業者への脱皮を図っているはずだ。TV番組の放送がネット経由で行われるようになったとき、中小の接続事業者に番組配給がなされる保障はない。そうなった後に、接続のみサービスする企業に残されたパイはとても小さいのではないか。それだけでなく、今後、携帯などの無線でのネット利用が増えていき、無線通信キャリアが回線の卸売りをしないことを考えると、汎用パソコン+有線のインフラの上に成立していた旧型のISPは、かなり困難な状況に追い込まれる可能性が高い。私が某社を「じり貧」だと考えるのは、そうした状況の中でなお、有線上の接続サービスだけに注力する姿勢を危うく思っているからだ。

  前置きが長くなってしまったので、本題は次の記事に分割することにする。

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