2019.07.15

「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」

このMJ、わりといいです。キルスティン・ダンストもエマ・ストーンも、ちょっと違う感じがしていましたが、このゼンデイアという女優さんは、スパイダーマンの彼女らしい感じがします。

 

お話はまあ可も不可もない。と思っていたらひっくり返って、そしてスタッフロールのあと、さらに・・もう頭が混乱します。インフィニティウォーの結果生まれた5年間の空白も混乱の元ですが、それに輪をかけてわけがわからない。アメコミを読んでいるとこの辺はわかるのかもしれません。

 

ヨーロッパ旅行の風景を楽しめて、まあよしとしておくくらいでしょうか。

|

「トイ・ストーリー4」

いやほんと、このシリーズには驚かされます。
もうさすがにネタ切れだろうと思って、あまり期待もせずに見に行ったのですが、こんな風に設定に手を入れて新しい命を吹き込むとは。1,2,3それぞれに良かったですが、この4は、これまでのどの作品にも増して素晴らしい。

今回は、たくさんいるおもちゃ達全部を使うのではなく、主要キャラクタに絞ってドラマを作ったのがよかったです。濃くなった。特にボーは、ディズニーが描き出すいまどきの女性像がわかりやすく反映されています。強く、賢く、そして自由。ウッディだけでなく見ている方も惹かれます。

人形として生まれた者の役目は、子供たちを支え育てること。いままで気付かなかったのですが、それは家庭を支える主婦の像と重なります。それが、今回どのように変化するのか、またその中で不変のものは何か。それは見てのお楽しみです。

そして、今回の愛されキャラ、フォーキーは、子供に買い与えられるのではありません。子供がはじめての登園の日、不安の中で自ら作り出します。この考え方は、これまでとは違っていて、些細なようですが重要です。子供と人形の関係を対等で互恵的なものにしています。

前作同様、今回も悪役がいます。前回は少々ネガティブな描かれ方だった悪役ですが、今回は、悪役にも三分の理を持たせてポジティブな印象です。ここの話の流れの作り方、最終的な収め方も上手い。

そしてそして、やはりボーです。かっこいいですね。ウッディに新しい世界を開いて見せてくれる存在。CGなのに、まるで生きているように豊かな表情を見せてくれます。技術がとうとう繊細な心の表現に追いついた、そういう感動があります。

それにしても、これでもう本当に完結でしょうか。寂しい気もしますが、また何か新しい趣向を考え出して、再び楽しませてほしい。そう欲張ってしまうほど、今作は出色の出来でした。

 

|

2019.07.14

「きみと、波にのれたら」

いいよねえ。これも。

アニメーションとして絵が良いだけでなく、実写ではたぶん表現できないダイナミックな動きや事象を、ストーリーの重要な要素に組み込んで、見せる。泣かせる。要素が有機的に組み合わさっているのがいい。

もちろん、実際にはあり得ない、見ようによってはイカレた女の子の妄想で片付けられそうなシーン満載だけれど、そこは映画だし。逆に現実と少しずれている作品世界が、たくさんの現実のシーンを背景にすることで、リアルな感じを醸すのに成功している、ともいえそう。

ナイーブな感じはいつもどおりだけれど、ストーリーの流れの中でゆるせてしまう。そういう質の高さ、お話の筋の良さが、この監督の作品にはあると思う。

「夜は短し歩けよ乙女」はかなりキワモノにも拘わらず、あっけにとられて最後まで真剣に見てしまった。
「夜明け告げるルーのうた」は少しストーリーが破綻していて粗削りだったけど、やっぱり見入ってしまった。

本作はそれらの作品に洗練を加えてきている。あのリズミカルな歌と踊りのシーンはなかったものの、躍動感と透明感のある絵や動きはさらに磨きがかかった上に、伏線をサプライズな感動や展開につなげる語りのうまさがあった。基本は甘たるい青春ものなのに、飽きずに観られました。

湯浅政明作品、次も期待して待ってます。

|

2019.07.13

「東京干潟」

この種のドキュメンタリーは、定期的に上映されて見にいくのだけれど、どれも味があっていい。単に自然を映すだけでなく、自然と人の関わりの大本を捉えている。
加えて本作は、この高齢者の人生も少し覗ける。

上映後の監督の舞台挨拶の中で、「現代史」と言っていたけれど、まさにそう。この年代の人たちには、日本人が自然の泥の中から徐々に立ち上がって築いてきたものと、同時に失ってきたものが、そこはかとなく匂い立っている。失ったまま鬼籍に入ることがほとんどだが、稀にこうして、自分の意志で泥へと立ち戻ってくる人がいる。そういう人は骨が太い。子供のように天真爛漫で、大人のように理非を弁えている。

ときどき見ると心が洗われる気がします。

|

2019.07.07

「新聞記者」

期日前投票も昨日済ませたし、まあ見ておこうかなということで、有楽町の角川で見ました。ドキュメンタリー風のフィクションで、映画としては悪くない仕上がりです。

主演女優さん探しに苦労したそうで、結局韓国の人?が演じてました。そのため怪しさ倍増で面白くなってたのが皮肉といえばそう。

この件で、日本の芸能事務所は、当たり障りなく身過ぎ世過ぎする以上のものではないことが浮き彫りになってしまったのは、まあ仕方がない。この後公開予定の「記憶にございません!」みたいなコメディタッチの作品に期待しましょう。

その中で主演男優の松坂桃李は頑張っていて、これは国側の人間役てことで問題なしという判断でしょうか。

お話は、これまでマスコミネタになってきたあれこれを思い出させる趣向になっています。ことの真偽はよくわかりませんが、事実として、公文書が廃棄されたり改竄されたり元々おかしかったり海苔弁当のようだったり、さらに最近では無かったことになったりで・・・いや公文書おまえ酷い目にあわされてるんだなw、てことを改めて思い出しました。

それと・・そういえば一人亡くなってましたね。お役人が。
改めてご冥福をお祈りします。役人って大変な仕事なんだなと、ちゃらく生きているわたくしなどさえ、そう思います。

例の元文科省の偉い人が、この映画にも堂々出演してましたが、あれくらい図太く生きればいいのにねえ。出世とか適当でいいじゃない。全部話しちゃえばと思ったりするのですが、そうもいかないのでしょうね。個が確立していないサラリーマンで、世間体が何より大事なのは、誰も彼も似たり寄ったりですし。

最近、薬物絡みでお役人がまた処分されてたと思いますが、まーさか裏事情があったりしないでしょうねえ。いやですねえ疑り深くなってしまって。

まあ、選挙の結果は、経済の要因が一番大きいのでしょうから、この映画がさほど影響があるとも思えませんが、一応、時代を映す一本てことで、見ておいて損はないかなと思いましたですはい。

 

|

2019.07.06

「ワイルドライフ」

静かなラストシーンが胸に迫って、見終わった後で涙が溢れてきてとまらない、素晴らしい作品。以下ネタバレは読まずに、劇場で観るのが吉。

* * *

このラストシーンは、なんでもない家族の肖像写真なのだけれど、そしてそれがエピローグ風に導入されているために、見る方は不意を突かれるのだけれど、この最後の絵が静止した瞬間に、これまでの来し方、これからの行く末が、すっと凝縮する。

もう元には戻せない美しい家族の過去が切なく胸に迫ってくる。これからどうなっていくのか、違う道を歩み始めて不安げな両親の間に入って、まだ14歳の少年の瞳が真っ直ぐ静かに輝いている。家族三人の道が交わって分かれていく二度とはない瞬間。

その何気ないけれど特別な一瞬を捉えて、映画は終わります。

最近の映画は、映画館の中で作品が完結して、後味を残さないように「配慮」するものが多いと思うけれど、この作品は、見終わった後の方が胸に迫ってくる。監督も、俳優も、スタッフも、本当に見事。特にエド・オクセンボールドが出色です。

今年のわたくし的BEST3間違いなしです。

* * *

ま、わたくしジュブナイル好きですからね。
キャリー・マリガン大好きでジェイク・ギレンホールも好きですし。
ちょっと、一点集中で褒め過ぎましたが、あの一瞬がこれほど輝いて見えるのは、そこまでの中身がこれまた素晴らしいからです。

手短に言えばこの作品は、世間的な成功とは程遠い普通の一生を送る大多数の核家族に共通の、幸せと不幸せを拾い上げているのだと思います。倦怠期を乗り切れなかった二人の失敗と、その結果ばらばらになっていく不幸を。それ以前の輝ける幻想と一緒に。

覆水盆に返らずのとおり、壊れた家族の関係は元通りにはなりません。でも少年がいます。きっと元通りに近いところまで両親を引き戻せると、信じているかどうかはわかりません。

でも、彼が知っている両親、その背中を見て育った良き人々の思い出を、せめて1枚の写真に残しておきたい、それが彼のこれから行く道の支えになるでしょう。あの一枚にはそういう意味があると思います。

健気という他に言葉を思いつきません。両親は、いつの間にか大人になった少年に、少し戸惑ってもいます。じんわりきます。

いやー。いいもの見せてもらいました。

少し付け加えておくと、両親の仲を裂くことになったお金持ちの老人は、これまた悪人ではありません。それどころか、母親と少年を夕食に招いた折に、少年に語って聞かせるエピソードからは、それなりの人物が伺い知れます。その彼が、しかし少年のつましい家族を壊すことになった。彼の罪でしょうか。たぶん違います。ただ知的でWILDなだけ。少年はこの枯れない老人のWILDも受け継ぐことでしょう。

そういう奥行きも備えた作品でした。

【追記】
あらためて、公式サイトの監督の言葉を読むと、このラストシーンが明確に像を結んだところから、映画化が進み始めたとのこと。納得です。

|

2019.07.05

「アラジン」

にぎやかでよろしいんじゃないでしょうか。
最近歳のせいか、こういう賑々しいのを見ると少し疲れますが。

絵にかいたような悪役とガラスの天井をぶち破るお話で、たいへん啓蒙的です。
んで、おおっぴらに賞賛する意見が、まだあまり見えない気がするのですが、王女様の力の入ったポリコレ的歌唱に、少し戸惑うというか、様子見を決め込んでいる人も多いのかもしれません。まあ世間なんてそんなもの。気にせず王女様の谷間を楽しみましょう。

|

2019.07.03

「ザ・ファブル」

この狂言回しの小島というチンピラがなかなかだなと思ったら、柳楽優弥だ。「誰も知らない」のあの子でした。目力は健在。でももうちょっとなんというか、極端じゃない役もあげてほしいなあ。虚無が宿っている目だから、なかなか普通の役は難しいのかもしれないけど。

まあでも、この作品では、小島という役は重要なキーだから、演じるのが彼でよかった。

なぜ小島がキーか。

ごく最近、吉本興業というところの構成員(というしかない。雇用契約書もないらしい)の芸人さんが、反社さんとのつながりが明るみに出て謹慎処分になったというニュースがあり、それについて、興味深い論考があった。
http://wpmu.hidezumi.com/?p=13939

よく知らないのだが、どうも日本の興行界というのは、やくざさんたちとは双子の兄弟のようなものであるらしい。ところが、芸人の経済的支柱が反社から放送局に変わることで、その繋がりが変化している、それが露わになったという見立てだ。

映画の中にも、法人化・社員化する893を感じさせるシーンがところどころあって、現実の興行界の変化と微妙に輻輳する。

本作の小島は、最後の静かなクライマックスで、「俺のやり方は時代遅れなんかなあ」という言葉を口にする。それは、昭和の時代には確かに社会の一角を成していた人々が、行き場を失って絞り出す嘆きにも聞こえる。

この作品は、表向きには胸のすくアクションと、ちょっとした笑いと、ヒロインの可愛さ健気さとで進行するエンタメ映画には違いないのだが、少し視点をずらしてみると、違うものも見えてくる。

そういう風に私には見えました。

主人公たち世代よりひとつ上の親父たち世代もいい味で関わってくる。彼らは裏で動いて、功利的な能力ばかりを伸ばしてきた若者を、社会に根付く真人間に育てようとする。あるいは、もう取り返しのつかなくなってしまった毒を、容赦なく、あるいは、涙ながらに、力で排除する。その罪は黙って墓まで持っていくのだろう。
かっこよすぎるでしょ。

これ、わかっているおっさん世代が作り手に紛れ込んでいるのは間違いないのだが、そのおかげで陰影のあるいい作品に仕上がったと思います。

テレビ局は自分たちの世界の話だから、わかっていて当然かw

 

|

2019.06.29

「ハッピー・デス・デイ」

死ぬと時間が巻き戻って記憶だけは残る、というと「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を思い出します。「オール~」では知識とスキルを積み重ね、未来を知っている有利を生かして主人公が活躍しますが、本作では、この設定は別の使われ方をします。

決して褒められた性格ではない主人公が、反省して行いを改めるのでーす。と思ったら、それは終わりの方の1回の蘇生だけ。その結論にたどり着くまで、何度も死になおします。途中、むしろ悪い方向にも行ったりしてw。性格の悪さなんてそうそう変えられるものじゃありませんね。
でも、行いを改めようと思ったきっかけが、これがふとしたことだけれど、なかなかよいです。やはり善人との出会いというのは大切ですね。幸運をあなたにも。

まあ、そういうガールミーツボーイな筋書きがあってほっこりするわけです。
「バタフライ・エフェクト」とは違って明るくてパワフルです。

しかしながら、本作の眼目は何といっても、様々なパターンで殺される恐怖を何度も味わうところにあるわけで。刺されたり刺されたり刺されたり殴られたり燃やされたり・・えーっと溺れるとかはなかったかな。他にもあるけど言うと結末のネタバレになるので黙っておきますが。

まあ、そういう趣味の作品です。

こうしてみると、やはり刺されて死ぬのが映画製作上は一番安上がりなんですかねえ。何度も使われてます。派手な爆発で燃やされるのは1回だけ。ちょっとおごってみましたって制作会議で監督が説明してるのが目に浮かびますw

ほっこりあり、恐怖あり、ほかにもいろいろあって、最後はハッピーエンド。コスパのよい作品でした。

* * *

ところで、時間巻き戻しというギミックを使った作品としては、「アバウト・タイム」がとてもよいので、お薦めしておきたいです。

|

2019.06.21

「X-MEN: ダーク・フェニックス」

いと高き者ジーン! その御前にひれ伏すがよい!
てな感じのノリで。手が付けられない強さとはこのこと。

ソフィー・ターナー、悪くないけど、ファムケ・ヤンセンの方がわたくしとしては好みでした。表面の落ち着きの下に隠れた不安定さや狂気みたいな二重性を、ヤンセンはうまく出してた。

展開は、世界が滅ぶとかなんとかの前宣伝の割には、比較的小規模な闘いに終始してました。マグニートーが潜水艦持ち上げたり金門橋持ち上げたりしてた過去に比べると地味。今度も変なもの持ち上げてたけど、それを持ち上げる必然性がないぞw

それでも、X-MENの良さである、各々の特異性を生かした目まぐるしいバトルアクションは、いつもどおりの質をキープ。これを見に行っているので、今回も満足です。

* * *


X-MENの面白さは、つまるところサーカスの面白さなんだから。
ミュータンツは芸人。そして看板芸人はいつもマグニートーw

* * *

ストーリーはないようで、実はちゃんとある。お互い敵同士に分かれた二人、チャールズとエリックが、ジーンの暴走を前にして、自らの過ちを認め、赦し、仲直りするのがそれ。

敵対していたときと、共闘するとき、そして最後に友として、それぞれの人物像や空気を、マイケル・ファスベンダーとジェームズ・マカヴォイがはっきり演じ分けています。演出と編集もそれをきちんと組み入れて、見る側が迷いなく感じ取れるようにできてる。護送鉄道の中でファスベンダーが見せた一瞬の表情が、彼の立ち位置の変わり目をはっきり見せていてよかった。

やっぱり上手い役者がやるとそれだけで、ありきたりなストーリーにも深みみたいなものが出る。よいですな。

これでX-MENも一旦終了になるのかどうか。
今後が気になります。

|

«「海獣の子供」