2021.02.28

「ナタ転生」

背景の話が大きくて面白い。西遊記や封神演義が下敷きになっているのだから、面白さは折り紙付き。
加えてアニメーション技術も思っていたよりずっと質が高い。少し動きが早すぎて追い切れないところもあるけど、言い方を変えればスピーディで気持ちがいい。

ファンタジーの世界では龍といえば至高に近い存在だろうけれど、中国の神話ではその上がいる。哪吒太子はその一人。本作でも、強大な東海竜王を火達磨にしてしまう。
そういうスケールの大きな話に、人の世界の情念を絡ませて庶民受けするエンタテインメントに仕上げている。
日本のエンタメとの違いが感じられたのは、天帝のような人知も神仏をも超えた存在を前提にしているところ。本作でははっきりとは出てこないけれど、哪吒を取り上げるならそのうち出てくるはず。その揺るぎない存在が、群雄割拠が常の日本的な感性とは違いそう。

本作のナタは、お話の副産物として宝貝のひとつを手に入れたけれど、宝器は他にもあるから、続編が次々作られるのだろう。東海竜王を皮切りに四海竜王を平らげていく筋書きが目に浮かびます。
中国の娯楽映画、もっとたくさん日本でも上映してほしいですね。

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2021.02.27

「夏目友人帳」

NETFLIX 全13話

よいなー。ワタクシ好み。
人とあやかしとの間の友情や恋心など。アニミズム溢れるほのぼの民話風の話が大好きですよ。

特に第3話「露神の祠」は、日本における八百万の神というものと人との間の、曖昧な境界と微妙な依存関係を情緒たっぷりに描き出していて、出色の出来です。

荒事も多少は出てくるけれど、力づくでの解決は望まない主人公の心情に、しんみりします。それが幸せに続いていく未来につながっていて、現実の荒波に荒んだ心が一時癒されます。

儚さがその裏にあるのが、このお話の味わいでしょうかね。

続編もあるようなのですが、妙に現代的はお話になる前に、ここで止めておくのもいいかもしれません。

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2021.02.14

「すばらしき世界」

「すばらしき世界」
https://wwws.warnerbros.co.jp/subarashikisekai/

日曜昼の最後の1席をかろうじて予約できて見に行った。役所広司の全開ぶりを久しぶりに見る。同じ時間帯で他の日本のアイドル映画が閑散としているのと比べて、なんという違い。

この種の映画は、以前は自分と関係ない世界を興味本位で垣間見るものと思っていた。けれどもこの人気ぶりは、こうした世界観が広く共感を呼ぶくらいに世の中は変わってきている、その証左かもしれない。

敷かれたレールから一旦外れると、まともな道を行くのは難しいとは、昔から聞き分けの無い冒険心に満ちた子供を手懐けるために、恫喝交じりで言われてきたことだけれど、それがいよいよ強く感じられるくらいに、世間はせちがらく、景気は悪化し、国力は衰退し続けているということだろうか。脱線転覆劇場の見本のような者にとっては、興味深いことではあります。でも本当は、それほど気にする必要もないと思うけどね。


前置きが長いのは、たぶん、本作について何か直球で言うのがためらわれるからだ。何を言っても薄味のことしか言えそうにない。いくら脱線の多い気儘な人生といっても、刑務所暮らし十何年の話の前では霞まざるを得ない。

だから、この話を見る切り口は別にある。渡る世間は鬼半分ということだ。
本作の主人公の困難な人生は、それを浮き彫りにする道具立てなのです。

そうしてみれば、なるほど頷けるところが随所にある。過度に感情移入せずに観察すれば、同情すべきところもあり、至らなさを指摘したくなるところもあり、というところだろう。わき役たちがそこを隙なく埋めてくれる。その上、泣かせるのも上手い。

同じ西川和美監督の「夢売るふたり」は、切なさで泣かせる点で右に出る映画はそうはないと思うけれど、この作品もまた。

すごいなと思ったのは、この締め方。主人公が紆余曲折を経てやっと志正しい道についたと思ったところで、体の方が力尽きるのは、まあよくある話なのだが、そこからカメラは視線を上げて、薄青い空を映し、タイトルの「すばらしき世界」の文字を出して終わる。こちらは、そこで初めて、最初は単なる皮肉とも見えたタイトルの、真の深みに気づき、はっとさせられる。

なんという手腕。素晴らしすぎる。

観て、しみじみと感慨にふけりましょう。

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「キング・オブ・シーヴズ」

ハズレ。何を言いたかったのかさっぱりわからなかった。というか、これはドキュメンタリーなのかな・・実際にあった事件をただなぞっただけなのか。

強盗団のレベルの低い仲間割れだけがクローズアップされていた感じ。結局、行方の分からない最後の1人に嵌められたということか。

ときどき時間の無駄のような作品に当たってしまうのは仕方がない。

 

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「スターダスト」

NETFLIX配信

ロバート・デニーロが空飛ぶ海賊みたいな役で出ている動画を見て、興味が湧いたのでしたが・・

デニーロは相変わらずの千両役者振りだし、他の俳優さんも悪くなかったけど、お話がファンタジー過ぎて、期待したのとは違う感じでした。星が人の姿になってとか、ソロモンのろうそくとか、威力が絶大すぎる要素がある一方で、魔女の技がまあありきたりで、そのアンバランスが気になって集中できない感じです。

でも、世継ぎ争いに敗れた王子たちの亡霊がコミカル担当を務めていた点は、割とよかったです。話が和みました。

まあ、よっぽど暇を持て余しているなら見てもいいかもしれない、くらいでしょうか。

 

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2021.02.07

「スペース・スウィーパーズ」

NETFLIXオリジナル

韓流コンテンツは普段なんとなく敬遠している私ですが、本作については、ああ、これは娯楽傑作だ。と、なんのわだかまりもなく言えます。

韓流を敬遠する理由としては、いろいろ濃ゆ過ぎるという点が挙げられますが、この作品はほどよく収めています。お話の構成からキャラの立ち具合から何もかもが定型から外れず、それでいて優れて尖っている。。そしてハリウッド製には見られないディテールもあるのです。

例えば、子供に対する目線がそう。西洋人の子供はあくまでも一個の人格として尊重される空気があるけれど、このお話の鍵になる子供は、縦横無尽天真爛漫に子供らしさを出してきます。おならとか。

そもそもこの子とクルーの邂逅の締めくくりが秀逸です。爆弾ロボットかもしれないとわかったところに子供がくしゃみの予備動作に入ってからのシークエンスはもう爆笑です。こういうセンスは東洋的なお笑いの粋だと思うんだけどどうなんでしょか。もうね、これでぎゅっと心臓掴まれましたよ。

さらに、狭苦しい清掃船のデッキでクルーとこの子が団子になって暮らしているのを見ると、これも西洋の映画ではあまり見かけないセンスだなと思います。クルーのプライベート空間に子供が自由に出入りして、殺伐としたクルーたちの心にしっかり入り込み、彼らのコミュニケーションの核になっていくところなどは、洋の東西を問わない展開ですが、その仕草とでもいうものに、東洋的な匂いが強くします。それがこちらには心地よいのです。

そうした東洋的な要素が、クライマックスの彼らの決断に自然につながっていくところに、理屈と感情との融合が果たされていて、本作の傑作度をかたちづくっていると思います。そこにサプライズのトリックが絡んで、もう言うことありません。

欲を言えば、ナノなんとかが爆発の高熱で壊れることをお話の盛り上げに使っておきながら、その後の奇跡ではあっさり忘れている点を、適当に説明を滑り込ませて収めてくれたら、もう完璧でした。が、それもご愛敬というところでしょう。

そんなこんなで、たいへん楽しませていただきました。こういう作品は、ネット配信のお蔭で世に出る機会が増えていると思いますが、これからもっと増えてくれるといいですね。

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2021.01.31

「ウィンクス・サーガ: 宿命」

NETFLIXオリジナル シーズン1全6話

イタリア発のアニメシリーズ「ウィンクス・クラブ」が原作だそうです。学園魔法少女ものてことでワタクシの苦手分野。ただまあ・・謎に引きずられてなんとなく6話見てしまいました。主人公はそれほど魅力的でもないのですが、このくらいが普通女子には受け入れ可能な範囲なのかもとか暴言吐いてしまいます。

そんでお話はだらだらと続いて、魔法の特殊効果も大したことないしで、さすがに最終話で主人公の女の子が純粋フェアリーに変化するところでは一応羽が生えたりしてます。でもジーンズ履いたままなんですよねえ。。せめてセーラームーンみたいにくるくるーっと全身変身してくれたらよかったのですが。原作アニメの方は、ネットで見てみると一応キラキラなんですが、実写の本作の方は・・・地味です。

なんかシーズン2に向けて、善玉の重要人物が悪玉の強力な魔法使いにあっさり首折られてしまうし(でもきっとどこかで復活してくるのでしょう)、戦争がどうとか話がいきなり大きくなってきます。シーズン2・・たぶん見ないかな。。

原作を知っているor好きな人は見てもいいのではないでしょうかー。そんなとこで。。

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2021.01.30

「バーバリアンズ」

NETFLIXオリジナル 1シーズン6話

紀元前後の時代。ゲルマン族がローマに反乱を企てるお話。
ローマは周辺の蛮族にローマ化を浸透させるために、族長の子息を引き取って育てたというけれど、それがお話の発端になる。

ローマ軍団の強さと弱さを学びつくした蛮族の族長の息子が、浸透政策をとる軍団の尖兵となってゲルマンの族長に就任し、ローマの支配をさらに強める、と思いきや、踵を返してローマ軍団を奇襲し壊滅させるというあらすじ。

蛮族の側も一枚岩には程遠く、ローマ軍団内と同様に、諸部族の間でも裏切りが起きる。信頼と猜疑が交錯して、そこのところはまあ面白い。

ちょっとなんというか、肉付けが平坦な感じはする。お話を盛り上げる要素はたくさん散りばめられているのだけれど、どうもいまひとつ沸騰しないというか。

決してだめな作品ではないけれど、いい作品を作るというのは難しいもんだなと思いました。

 

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2021.01.17

「デンジャー・ゾーン」

NETFLIX配信

原題は"Outside the Wire"。
タイトルからわかるとおり、コントロールからはずれて自走するヒューマノイドがお話の中心にいる。はぐれ者の人間とのコンビで軍のある任務に従事するのだが、軍隊の規律やマニュアルに忠実な人間と、高度な任務を果たすべく自律性を持たされたヒューマノイドとが、どちらがどちらなのかわからなくなるくらい、主客転倒している。とまあ、滑り出しはそういう具合で、どこに話が向かうのかまったくわからない。ただ、妙にのっぺりとした感じで話がどんどん進むので、これが本筋ではないのだということだけは早くから気が付く。

このヒューマノイドが結局、アメリカに天誅をくらわすべく行動していることが明かされて、まあよくある「アメリカ自虐史観」ものだとわかる。戦争絡みでそういうテーマの作品は少なくない。

わかってしまえば、なんということもない。それを阻止する人間の方の本源的な動機は、本国で自分の帰りを待つ恋人だったりするのも、いつも通り。そして見る側としては、いつも通りの疑問を抱く。米国人の彼が本国の恋人を大切に想うのと同じく、米軍が武器を振り回している土地にもまた、同じように大切に想い想われている人たちがいることを、作品ではどう扱うのだろうかと。たいてい答えはない。この種の作品を見るたびに、米国人のこの倫理観にどうも釈然としないものを感じてしまう。超大国の宿命だといえばそうなのだろうか。

もちろん、紛争の現場で巻き込まれる罪もない人々を救おうとするシーンもあるのだが、それもいつもどおり。言い訳くらいにはなっているだろうか。

ヒューマノイドが見せる肉弾戦のアクションはなかなかいいので、そのあたりを見ておくのが吉かもしれない。

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2021.01.10

「スタントウーマン」

アクション映画に欠かせないスタントたち。男性でもきつい痛くて危険なその仕事についている女性たちがいる。その素顔を拾い上げた作品。

彼女たちに共通して言えるのは、性別に関係なく能力を見ろ、ということで、どこの業界でも女性の地位向上を目指す姿勢に変わりはない。

キャリアを積む中でアクション監督として活躍する人も現れ、それをロールモデルに、若い女性たちも同じ道を目指す。好循環が始まろうとしているようだ。

終わり近くに、彼女たちの一人が言った、とても印象深い一言があった。危険なスタントをするときの気持ちについてだ。

「もちろん怖いけれど、それを乗り越える。」

大きな危険を伴う仕事だからこそ、その言葉の重みが伝わってくる。この人たちは本物のプロだ。

映画作品としては少し単調だったけれど、映画製作を陰で支える人たちの命懸けの仕事ぶりが見られてよかったです。

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