2018.09.22

「若おかみは小学生!」

梶尾真治さんがいい!と言っていたので、見てみました。
https://twitter.com/kajioshinji3223/status/1043030064407896065

んで、言うけど、いい!

原作は児童文学だそうなので、斜に構えたり大人ぶった目線から批判的に見るのは簡単なんだけど、肯定的に見るととてもいい映画だし、我々日本人の本源に関わるところが、ひょっとすると見えると思うんよね。

文化はきちんと再生産されてると知って満足しました。

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2018.09.21

「愛しのアイリーン」

新井英樹の漫画が原作だそう。読んだことはないが、きっと暑苦しいパワーのある作品なんだろう。

映画の方も、そういうパワーは十分発揮されていて、剥き出しで押し寄せてくる。愛?何じゃそれは。という感じで。

気取ったところがない、というのは普通は称賛の言葉のはずだが、ここでは何というか、のっぴきならない、という感じになる。つまり、それだけ普段は無意識に目を逸らしている真実に近い、ということなんだろう。私には田舎というものがないから、地方の農村の現状がどう変化してきているのかはわからないが。

常夏の国の天然元気な娘が、厳しい冬を集団の規律で乗り越えてきた四季と陰影のある国へ金のつながりでやってきた末の、なんとも言いようのない苦い結末。

少し硬く言うと、異なる民族や部族が混交していく取っ掛かりと葛藤と見ることもできる。原作ではそのようなエピローグになっているそうだ。

褒められないが、ある種、真実に肉薄している強烈な作品。

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2018.09.16

「ザ・プレデター」

最初、軽いノリがかっこいいなと思っていると、その裏にある殺伐がちらちらと顔を出してくる。男だけじゃなく女も酷い。サクっと殺す。

確かシリーズ最初の作品は、特殊部隊が敵国に潜入して人質を救出するという真っ当な動機の任務に就いていたが、本作では優秀なはみ出し者達が脱走して、リーダーの子供を守るためプレデターと対峙するという流れ。時代ですかね。

時代といえば、主人公たちのキーファクターも、昔のような結束力とパワーではなく、スピードとトリック、隠密性、爆発力がキーファクターだ。

そういうノリなので、昔のように、人を殺す前に長々と葛藤を語ったりはしない。サックリいきます。
なんと気持ちのいい男たちだ、いやそうじゃない。

昔よりいいのは、人間にもずいぶん勝ち目が出てきてるところか。恐怖感はあるけれど悲壮感はない。負けるとわかっている闘いではない。それがまあ軽さにつながっているところはある。

どうもこのプロットだと、延々と続きそうだけれど、いいんじゃないでしょかね。ジュラシックワールドといい、地球を舞台に末永く戦ってください。

俳優でいいなと思ったのは子役。前半の弱々しい感じと、終わりの方の逞しさがでてきた感じをはっきり演じ分けている。
ジェイコブ・トレンブレイ君。「ルーム」のときのあの子だ。なるほどね。カナダの俳優さんだそうだけど、ハリウッドは懐が深いですな。

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2018.09.08

「クリミナル・タウン」

映画の煽り文句を聞くと、どんなすごいミステリなのかと思う。原作はどうなのかは知らない。

でまあ、煽りと、それにクロエ・モレッツだしなということで行ってみたら、なーんだ、またクロエお得意の青春ものか。というね。

裏切られましたね。クロエだから許せますけどね。もう既に3回もクロクロ書いてるわけで。

この人は”こび”とか”しな”をつくるのが異様に上手いですな。もうこっぱずかしいを通り越して、催眠術掛けられます。抵抗は無駄だ、みたいな。

それでまだ21歳だし、高校生なんてちょろいもんよという感じで難なく演じていて。

キック・アスは見てないけど、ああいうスレた鉄火場な感じよりも、本作のような育ちのいいスマートでキュートな少し小悪魔だけど根は家族思いの優しい女の子、という絵に描いたような主人公像が板についてる。ふわふわの毛糸のスウェーター着てソフトフォーカスでね。

あーもう映画とかどうでもいいですわ。

そういう作品だったのよ。
住んでる世界が違うのね。

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2018.09.01

「アントマン&ワスプ」

期待通りの面白さ。
お話を盛り立てる役者が揃っているのが大きい。

マーベル・シネマティック・ユニバースは、これまではマッチョで苦悩するヒーローものの色合いばかりだったけど、さすがに飽きがきているところへ、ホームドラマ的なこの作品の投入はほんとにタイムリーです。

ワタクシ的には、アクションにドラマを付け足したようなのより、ドラマの色どりとしてアクションもある方が好きだけど、本作はそのど真ん中です。

それでいて、アクションも独特の面白さとスピード感があって、そっちでもすごいのだから言うことなし。

大満足でありました。

んで、すっかりお約束になったボーナス映像ですが・・
なんとそういうことでインフィニティウォーとつながるんですか。
これは見ておいてよかったー。

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「追想」

シアーシャ・ローナンなので、半ば義務感で観に行きました。

微妙なんだろうな、こういう話は。
成田離婚なんて言葉が半分興味本位で流行ったこともあったけど、当人たちにとってはのっぴきならないことなんだろう。

「ラ・ラ・ランド」と似たような結び方でまとめているけれど、「ラ・ラ・ランド」の二人と決定的に違うのは、この二人の生まれ育った家庭環境が全く異なること。

破局の理由を、表面的には下ネタに持ってきているけれど、それまでのお付き合いの長い描写を見ていれば、本当の理由はそうではないと読むこともできる。

ホレタハレタで済まないものが、人の生い立ちというものにはある。そういう切ないお話でした。

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2018.08.24

「タリーと私の秘密の時間」

子育てってほんとたいへんなんだな。特に乳幼児は昼も夜も片時も手が離せないみたいだし。

んで、ナニーを雇うほど経済的に恵まれていない専業主婦が、子育てに奮闘するお話なんだけど、シャーリーズ・セロンがもうやりすぎなくらい役をつくっていて、その惨めさをこれでもかと見せてくれるのが前半。

ところが打って変わって後半は、子守りを雇ったことで、その同じ子育てが、素晴らしいものとして描かれている。セロン様、こんどは光り輝いています。

どういう変化なのか。

ネタは途中で察しがついたけれど、子守のおかげで、気の持ちようがかわったということだろう。そういうと悪しき精神主義のように聞こえるがまさにそうで、限界に達したところで、このお話は締めくくりを迎える。

男ってほんとだめ。というのが、まあ結論といえばそう。
少しは反省しましょう。

でも、この作品の良さは、そういう定型部分なのではなくて、子守が来てからの、子供たちとのかけがえのない楽しい時間の過ごし方を見せるところにある。詩情豊かな、という言葉がふさわしい至福の時間。苦労も多いけれど、決して忘れることのない幸せを、たっぷり見せてくれます。

時流に則った良作。

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2018.08.19

「2重螺旋の恋人」

フランソワ・オゾンの久しぶりの作品。相変わらず構成的によくできていて、隙がないというか。おフランスの映画ですから、エロとかもう一歩踏み込んで今回変態的なしーんなどもあります。「17歳」のマリーヌ・ヴァクトさんなら難なく演じてしまいますが、まあすんごい。子供には見せられません。

でもそういうお下品な興味以上に、本作でそそられるのは、愛ってなんだろうという点です。特に、見た目と中身との関係はどうなんだろう、とか表向きの綺麗なところと、それと表裏一体の剥き出しの○○とかそういったあたりの関係はどうなんだろうとか、みたいな話です。双子をうまく使って、その問題に深く深~く迫ります。

単にその間の関係を描くだけでなく、同時に弱肉強食の人の業みたいな話まで絡めて、見ている方は結構引き回されて疲れます。

こんなややこしい事を扱っていながら、まったく破綻の予感すらさせない話の運び、やっぱりこの監督は凄いの一言です。ま、ピストル撃っちゃった結果についてはスルーしているのは、日本人的な感覚とは少し違いますかね。でも特に違和感はないですが。

すべてが収まってハッピーエンドなのかと思ったら、最後のシーン。強烈過ぎるでしょう。やっぱり人は自らの業から逃れることはできなんでしょうか。

もう勘弁してほしい、お腹一杯になる作品でした。

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2018.08.18

「秒速5センチメートル」+「詩季織々」

秒速5センチメンタル!
いいなあ。こういうおセンチな映画好きですわ。

すれ違い、行き違いで、本当は好きあっている二人の軌跡が離れていってしまう切なさ。取り返しのつかない後悔。

10年前の「秒速・・」の方は、すれ違ったままでほんのり苦い味わいだけど、それにインスパイアされて中国の監督さんが作った「詩季織々」の方は、最後に再開の喜びが待っている。これもいいなあ。

上映後に、監督の易さんと日本側の制作会社代表の川口さんの対談があって、二度おいしかった。

中国における衣食住交の話とか、上海での石庫門のブランドイメージとか、そこのネイティブな住民と引っ越してきた新住民との区別とか、日本人の目で映画を見ただけでは気が付かない話があって、とてもよかった。

なんだか、まさに彼らはいま、我々の昭和高度成長と似たような軌跡を辿って、その終盤に来ているんだなあ、ということがじんわり伝わってきました。
そして、その規模の違いも。

いろいろ、政治的なやり口をメディアを通じて聞かされると、中国嫌いになりそうだけど、こうして普通の中国の人の話を聞いて、その作品や仕事を見る機会が多くなれば、また違った印象になっていくだろうな。
そうありたい。

とても有意義な作品でした。

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2018.08.11

「オーシャンズ8」

いやーゴージャスやな。
眼福です。

Wiredが斜に構えて、男性版オーシャンズとの比較みたいなことを言っているけど、見当違いもはなはだしい。
ttps://wired.jp /2018/08/10/oceans-8/
この女性7人プラス1(笑)の特質をまったく見ていない。

男性キャスト中心の映画で、この華やかさが出せますかと。
ちょっとした不自然さに対しては男より女の方が敏感、という特質を、こんな風にサプライズに結び付けて生かせますかと。そこはこの映画の骨格にもかかわる重要な点なんですからね。

そういう味わいを見に行く映画、というポイントさえ外さなければ、とっても楽しめます。

作品中でも、アン・ハサウェイの台詞の中で、ディテールに輝きが宿るような、てなことが埋め込まれていて、男性中心の映画の世界にありがちな批判は、すでに予見され、先回りして皮肉られている、というおまけまで付いてる(笑)。すばらしい。


クライムムービーとしては軽めだけど、そういうのはそれこそしかつめらしいマッチョな映画を見ればいい。

観客の方も、こういうテイストに自然に価値を認めるようになっていけばいいんじゃないかな。

あそうそう、先週見たばかりのバンクシーが出てきて、しかも洒落た使われ方をしていて、ニヤリとしました。

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