2026.02.15

「超かぐや姫!」

https://www.cho-kaguyahime.com/

NETFLIXで。

 

日本最古の物語がいま、
ライブステージで生まれ変わる

っていうキャッチコピーが公式サイトにあるんだけど、これがぴったりくる作品。竹取物語を骨組みだけ借りながら換骨奪胎して全然別の生き生きしたお話に作り変えました。よいですね。

まあ、ライバーって何?とかGeminiに聞いたりして、よく使われるプラットフォームとか挙げられても初めて聞くものばっかり、というおっさんなわけです。でもどういうものか説明を聞いているうちに、ニコニコ生放送とかいうのの発展形なのかなと思ったり。

んで、Geminiの言うには、若者の間ではこれはもう当たり前らしくて。

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Z世代: インフルエンサーの主流がYouTuberからライバーへ移行しており、職業としての認知度も非常に高いです。

Vライバー/VTuber: 10代の認知率は約7割に達するというデータもあり、アニメやゲームと同様の一般的なエンタメとして定着しています。
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だそうな。
でもなー。小学生に定期的にアンケート取ってなりたい職業とか聞いてる中で、Vtuberという言葉は見かけるけどLiverというのはまだ見たことないんだよなー。まあ意識高い系先端Z世代なのかもね。

さてお話の方は、シスターフッドと明日への希望溢れるパワフルな展開。もちろん、かぐや姫の物語から借りてきた別離の予感や喪失感もないまぜになっているけれど、そこからもう一段ジャンプしてハッピーエンドにしている腕力が凄い。SF的ギミックを使って無理なく軟着陸させている。

締め括りはまるで天馬博士が鉄腕アトムを生み出したのと同じだけれど、どろどろはなくてひたすら明るい。そういうところもよいです。

軽薄なように聞こえるけど、生きる力をもらいましたと言いたくなる多少ぶっ壊れている明るさがよい。この辺りは「k-pop girlsデーモンハンターズ」のソツのなさと比較すると面白いかも。

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「TOGETHER トゥギャザー」

https://together-movie.jp/

全体にホラーっぽい流れの中でコメディをするっと入れ込むセンスはなかなかよかった。電動ノコをいざ使うところで、ちょっと間を入れて「疑って悪かった」と言わせるあたりとか、抜けなくなったのをむりやり引きはがすところとか超痛そうだけど笑いました。

でも全体になんだか中途半端というか物足りない。納得感がないのが理由だと思う。たとえばあの親切そうに見えて化け物だった教師はその後どうなったのかとか、バンドのメンバーはとか、スクリーンの中で中途半端に存在感を出させていた人物たちがいつのまにか遠景に消えてしまって、納得できず落ち着かない。

主人公カップルの男の方が女に依存し過ぎているのも見ていて不愉快だ。最後のオチは男が女を見事食い物にするのに成功したようにも見えて、結末にも不満が残る。それで訪ねてきた両親が納得するわけがない。それにプラトンが理想とした人間像をわざわざおどろおどろしく解説していたのに、なんで普通の人間になってしまうのか。ここにも中途半端が見られて、もうなんかどうでもいいやと思えてしまう。

まあ、失敗作のよい実例なのではないか。

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2026.02.08

「マーズ・エクスプレス」

https://marsexpress.jp/

フランス産のアニメ。ロボットが普及した社会で彼らの反乱を描く、まあよくありがちな筋書き。とはいえその原因は人間の強欲というのが隠し味。そのおかげで結末がいい感じに収まっている。

ちょっとしたSF的ギミックが随所で目新しさを演出しているのがいい。見ていて飽きない。中でも割といいなと思ったのは、地球と火星を繋ぐ宇宙船。地上から衛星軌道までの巨大な全翼機が、惑星間宇宙船の胴体にはりついてそのまま一緒に旅をする。まるで樹木にとまる蛾のようで、なかなかいいセンス。

シーンが切り替わっていくときの話の繋がりはあまりいいとは言えないが、細かいことを気にせずギミックを楽しめれば、なかなかよい作品と言える。

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「小屋番 八ヶ岳に生きる 劇場版」

https://koyaban.com/

このところAIにちょっと入れ込んでいて、そうすると人間とは?みたいなことを否応なく考えさせられる。ちなみに知性とは知識の連鎖に過ぎず、人間の知性といってもさほど高尚なものでもなく最先端のAIはそれをシミュレートできそうだということはだんだん納得させられつつある。

現代社会では人間の価値は知性(テストの点や営業数字の結果)で測られる場面がとても大きくなっているけれど、降って湧いたようなAIの爆発的な発展で、その尺度が怪しくなっている。

前置きが長くなったけれど、本作のような映画を見に行こうという衝動の理由はその辺りにある。自分はAIに比べてどう違うのかということが気になるわけだ。

観てみてどう思ったか。やっぱり人間とAIは全然違う。安心した。人間を特徴づけているのは、それがいまの地球環境に適応した有機生命体であるということに尽きる。

山の景色を見て、日の出を見て、猛吹雪を見て、それを愛おしいと思うのは、我々がそれに適応した有機的な存在だからだ。AIが機械の体を持ったとしても、この自然への親しみはおそらく湧かないだろう。感情をシミュレートすることは可能だろうけれど、それは存在自体、細胞のひとつひとつが発する声に根付いたものではあるまい。

なんだか安心した。
もう年だし、あんな過酷な道は無理にしても、もっと自然の中へちょくちょく行ってみよう。

 

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2026.02.01

「白蛇:浮生」

https://white-snake.movie/

ええなあ純愛・・
ココロが洗われました。。
もうそんだけ。そんだけでいい。
加えてアクションもすごくいい。

「白蛇:縁起」「白蛇2: 青蛇興起」もとてもよかったけれど、本作も負けず劣らず。
白、青、仙、三人の家族愛?を中心に、本作では仙の義理の兄が加わっていい味を出している。妖狐の宝青坊と高僧の法海は前作同様の立ち位置で物語が回っていく。

「縁起」で悲恋の末に命を落とすことになった宣が、500年を経て仙として生まれ変わり、白はそれを見出して再び相思相愛の仲になるのだが、妖怪退治が本分の法海がこれも再び立ち塞がるいう流れ。

宣から仙への生まれ変わりは輪廻転生の思想を色濃く反映していて興味深い。闘争に終わりはなく、悲恋も成就してはまた引き裂かれる。それが中国の悠久の大地を舞台に千年の永きに亘って繰り広げられ、雄大なスケールを感じさせる。その大きさに比肩して白と仙の愛もまた大きく映る。

それだけでなく本作では、輪廻の繰り返しに変化が起きる。文曲星というのは中国の占星術に登場する星で、芸術・文学・芸能・学術・創造性などを司り、感性が豊かでロマンチストな才能を持つ、ということらしい。あくまでも妖怪は退治されねばならないという固い信念を持つ法海が、この新しく生まれ出た存在に接して、ほんの少し変化を見せる。

次作では、この辺りを中心に展開していくことになるのだろうか。期待したいです。

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2026.01.25

「28年後... 白骨の神殿」

https://www.28years-later.jp/

前作と一体的につくられた、いわば後半のパート。人を狂暴化させるウイルスが蔓延した世界のサバイバルホラー、という設定になっている。

秩序が壊れ人の野性や獣性が剥き出しになる世界で、新しい環境のままに生きようとする者と、旧来の秩序をなんとか保とうとする、あるいは回復しようとする者との交錯が描かれる。前者ジミーを演じるのがジャック・オコンネル、後者ドクター・ケルソンを演じるのはレイフ・ファインズ。この二人の掛け合いが面白い。

ファインズのお陰で、本作はサバイバルにも関わらず格調の高さを保っている・・はずだったけれど、取引によって悪魔を演じることになりロックなところを見せているのがまた面白い。そして、最後に再び静けさと格調を取り戻して終幕。

これ1作だけでは意味不明なことばかりなので、前作と通しで見る必要はあるけれど、わたくし的には妙に惹かれるところがある作品でした。

 

追記

○本作のジミーには実在のモデルがいるそうです。ジミー・サヴィルという元BBCの司会者がそれ。表の貌とはうらはらに未成年者への性的虐待を繰り返していたことが死後に発覚した、という人物とのこと。
○28シリーズは本作で終わりではなく、この後最後の1本「Redemption」があるそうです。

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2026.01.21

カナダのマーク・カーニー首相が1月20日、スイスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)で行った演説

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/20552c2d488ff539f767de2b0565099dfbb0b28b

カナダのマーク・カーニー首相が1月20日、スイスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)で行った演説が、国際社会に大きな波紋を広げている。大国間競争の激化と多国間制度の形骸化を前提に、首相は「もはや旧秩序は戻らない」「ノスタルジー(追憶)は戦略ではない」と断言した。これまで各国が口にしつつも正面から語ることを避けてきた「冷徹な現実」を、真正面から突きつけたのである。

だが、ここで注目すべきは、その悲観的な現状認識そのものではない。演説の真価はむしろ、カナダや日本、オーストラリアといった「ミドルパワー(中堅国家)」が強固に連携することで、崩れゆく旧秩序の先に、新たな国際秩序を主体的に築き得るという力強い提言にある。

元イングランド銀行総裁という稀代のリアリストであるカーニー首相の言葉は、分断が進む現代世界を象徴するパラダイムシフトとして、歴史に記憶されるだろう。世界が直面する「断絶」を直視し、その中でミドルパワーが果たすべき役割と生存戦略を、明確かつ揺るぎない言葉で示したからだ。

「原則と現実主義:カナダの進む道」と題されたカーニー首相の演説の全文は以下の通り。


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ありがとう、ラリー。

カナダ、そして世界にとっての転換点にあたるこの場で、皆さんと共にいることは、私にとって喜びであり、同時に責務でもあります。

本日は、世界秩序の断絶、心地よい物語の終焉、そして大国間の地政学がもはやいかなる制約も受けないという、厳しい現実の始まりについてお話しします。

しかし同時に、特にカナダのようなミドルパワー諸国は決して無力ではない、ということも申し上げたい。人権の尊重、持続可能な開発、連帯、主権、国家の領土的一体性といった価値を体現する新たな秩序を築く力を、私たちは持っています。

弱き者の力は、まず誠実さから始まります。

私たちは日々、大国間競争の時代に生きていることを思い知らされています。ルールに基づく国際秩序が衰退しつつあること、強者はできることを行い、弱者は耐えねばならないこと。

トゥキュディデスのこの警句は、避けられない現実として語られがちです。国際関係の自然な論理が再び前面に出てきたのだ、と。そしてこの論理を前に、多くの国は「波風を立てずにやり過ごす」方向へと傾きます。迎合し、摩擦を避け、従順さが安全を買うと期待するのです。

しかし、それは安全をもたらしません。

では、私たちにどのような選択肢があるのでしょうか。

1978年、チェコの反体制派ヴァーツラフ・ハヴェルは『無力者の力』というエッセイを書きました。彼はこう問いかけます。共産主義体制はいかにして維持されてきたのか。

彼の答えは、八百屋の話から始まります。毎朝、この店主は店先にこう書かれた看板を掲げます。「万国の労働者よ、団結せよ!」。彼自身はそれを信じていません。誰も信じていません。しかし、厄介事を避け、従順さを示し、周囲と折り合いをつけるために掲げるのです。そして、すべての通りのすべての店主が同じことをすることで、体制は存続します。

それは暴力だけによってではなく、人々が内心では虚偽だと知りながら儀礼に参加することで維持されるのです。

ハヴェルはこれを「嘘の中で生きること」と呼びました。体制の力は真実性にあるのではなく、皆がそれを真実であるかのように演じ続ける意志にあります。そしてその脆さも同じところにある。たった一人でも演じることをやめたとき――八百屋が看板を外したとき――幻想は崩れ始めるのです。

今こそ、企業も国家も、その看板を外すときです。

数十年にわたり、カナダのような国々は「ルールに基づく国際秩序」のもとで繁栄してきました。私たちはその制度に参加し、原則を称揚し、予測可能性の恩恵を受けました。その庇護のもとで、価値に基づく外交を追求することができました。

私たちは、この国際秩序の物語が部分的には虚構であることを知っていました。最強国は都合のよいときには例外を認められること、貿易ルールは非対称的に執行されること、国際法の厳格さは加害者や被害者の立場によって異なること。

それでもこの虚構は有用でした。とりわけ米国の覇権は、公海の自由、安定した金融システム、集団安全保障、紛争解決の枠組みといった公共財を提供してきました。

だから私たちは看板を掲げ、儀礼に参加し、言辞と現実の乖離を大きく指摘することを避けてきたのです。

しかし、この取引はもはや成り立ちません。

率直に言いましょう。私たちは「移行期」ではなく、「断絶」のただ中にいます。

過去20年にわたる金融、保健、エネルギー、地政学の危機は、過度なグローバル統合がもたらすリスクを白日の下にさらしました。

近年では、大国が経済的統合そのものを武器として使い始めています。関税は圧力手段となり、金融インフラは威圧の道具となり、サプライチェーンは付け込まれる脆弱性となっています。

統合が相互利益ではなく、従属の源泉となるなら、「嘘の中で生きる」ことはできません。

ミドルパワーが頼ってきた多国間制度――WTO、国連、COPといった集団的問題解決の建築物――は著しく弱体化しています。

その結果、多くの国が同じ結論に達しています。エネルギー、食料、重要鉱物、金融、サプライチェーンにおいて、より大きな戦略的自律性を確保しなければならない、と。

この衝動は理解できます。自国で食料も燃料も確保できず、防衛もできない国には選択肢がほとんどありません。ルールが守ってくれないなら、自分で自分を守るしかないのです。

しかし、冷静に見なければなりません。要塞化した世界は、より貧しく、より脆弱で、より持続不可能なものになります。

さらにもう一つの真実があります。大国がルールや価値の「建前」さえ放棄し、力と利益の追求に専念するなら、取引主義から得られる利益は次第に再現困難になります。覇権国は永遠に関係を換金し続けることはできません。

同盟国は不確実性に備え、多角化を進め、保険をかけ、選択肢を増やします。これは主権の再構築です。かつてはルールに基づいていた主権が、今後は圧力に耐える能力に根差すようになります。

私は申し上げました。こうした古典的なリスク管理にはコストが伴います。しかし、戦略的自律性や主権のコストは共有することも可能です。強靱性への共同投資は、各国が個別に要塞を築くより安上がりです。共通基準は分断を減らし、相互補完はプラスサムを生みます。

カナダのようなミドルパワーにとっての問題は、新たな現実に適応するか否かではありません。適応は不可避です。問題は、単に壁を高くすることで適応するのか、それともより野心的な道を選べるのか、です。

カナダは早い段階で警鐘を聞き、戦略姿勢を根本的に転換しました。

地理や同盟への所属が自動的に繁栄と安全をもたらす、という従来の心地よい前提がもはや成り立たないことを、カナダ国民は理解しています。

私たちの新たなアプローチは、アレクサンダー・ストゥブ氏の言う「価値に基づく現実主義」に立脚しています。言い換えれば、原則を持ち、かつ現実的であることです。

主権と領土的一体性、国連憲章に合致する場合を除く武力行使の禁止、人権尊重といった基本的価値への原則的なコミットメント。

同時に、進展はしばしば漸進的であり、利害は分岐し、すべてのパートナーが価値を共有するわけではないという現実を認識する実利主義。私たちは世界をあるがままに直視し、望む世界を待つのではなく、現実の世界に主体的に関与します。

カナダは、関係の深さが価値観を反映するよう、各国との関係を調整しています。流動化する世界秩序とそのリスク、そして次に来るものの重要性を踏まえ、影響力を最大化するため、幅広い関与を優先しています。

私たちはもはや価値の強さだけに頼るのではなく、自らの強さの価値にも依拠しています。

その強さを国内で築いています。

私の政権発足以降、所得、キャピタルゲイン、企業投資への減税を行い、州間貿易の連邦障壁をすべて撤廃しました。エネルギー、AI、重要鉱物、新たな貿易回廊などに、1兆ドル規模の投資を迅速に進めています。

2030年までに防衛支出を倍増させ、国内産業の育成につながる形で実施しています。

対外的にも急速に多角化を進めています。EUと包括的戦略パートナーシップに合意し、欧州の防衛調達枠組みSAFEにも参加しました。

過去6か月で、4大陸にまたがる12の貿易・安全保障協定を締結しました。

この数日間で、中国およびカタールとの新たな戦略的パートナーシップもまとめました。

インド、ASEAN、タイ、フィリピン、メルコスールとの自由貿易協定も交渉中です。

地球規模の課題解決のため、価値と利益に基づき、課題ごとに異なる連合を組む「可変的幾何学」を追求しています。

ウクライナ問題では、「有志連合」の中核メンバーとして、人口比で最大級の防衛・安全保障支援を行っています。

北極の主権をめぐっては、グリーンランドとデンマークを断固として支持し、グリーンランドの将来を決定する固有の権利を全面的に支持します。NATO第5条へのコミットメントは揺るぎません。

NATO同盟国(北欧・バルト8か国を含む)と連携し、地平線越えレーダー、潜水艦、航空機、地上部隊への前例のない投資を通じて、同盟の北方・西方防衛を強化しています。カナダはグリーンランドをめぐる関税措置に強く反対し、北極の安全と繁栄という共通目標に向けた集中的協議を呼びかけています。

複数国間貿易では、TPPとEUを結ぶ架け橋を構築し、15億人規模の新たな貿易圏を生み出そうとしています。

重要鉱物では、G7を軸としたバイヤーズ・クラブを形成し、供給集中からの脱却を進めています。

AI分野では、覇権国家か巨大テック企業かの二者択一を迫られないよう、志を同じくする民主主義国と協力しています。

これは甘い多国間主義ではありません。弱体化した制度に依存するものでもありません。課題ごとに機能する連合を築き、共通基盤を十分に共有するパートナーと共に行動することです。場合によっては、それは世界の大多数の国々になるでしょう。

同時に、将来の課題や機会に活かせる、貿易、投資、文化にまたがる緻密なネットワークを構築しています。

ミドルパワーは連携しなければなりません。テーブルに着かなければ、メニューに載るからです。

大国は単独行動が可能です。市場規模、軍事力、交渉力があります。ミドルパワーにはそれがありません。覇権国と二国間でのみ交渉すれば、私たちは弱い立場から交渉し、提示された条件を受け入れ、最も迎合的であろうと競い合うことになります。

それは主権ではありません。従属を受け入れながら、主権を演じているにすぎません。

大国間競争の世界で、中間に位置する国々には選択があります。寵愛を求めて互いに競うのか、それとも結束して影響力ある第三の道を創るのか。

ハードパワーの台頭に目を奪われ、正統性、誠実さ、ルールの力が――共に行使するなら――なお強力である事実を見失ってはなりません。

ここで再び、ハヴェルに立ち返ります。

ミドルパワーが「真実の中で生きる」とは何か。

現実を名指しすることです。「ルールに基づく国際秩序」が、いまだ機能しているかのように唱えるのをやめること。現状を正しく呼ぶこと。すなわち、経済統合を威圧の武器として用いる大国間競争が激化する時代です。

一貫して行動することです。同盟国にも競争相手にも同じ基準を適用すること。一方からの経済的威圧を批判しながら、他方には沈黙するなら、私たちはまだ看板を掲げたままです。

信じると言っているものを実際に築くことです。旧秩序の復活を待つのではなく、言葉どおりに機能する制度や合意を創ること。

そして、威圧を可能にするレバレッジを減らすことです。強い国内経済の構築は常に最優先事項であり、国際的多角化は単なる経済的慎重さではなく、誠実な外交の物質的基盤です。報復への脆弱性を減らしてこそ、原則的立場を取る資格が生まれます。

カナダには、世界が求めるものがあります。私たちはエネルギー超大国であり、膨大な重要鉱物資源を持ち、世界で最も教育水準の高い国民を擁しています。年金基金は世界最大級かつ高度な投資家であり、資本、人材、そして決断力を持つ政府があります。

そして、多くの国が希求する価値があります。

多元的で機能する社会。騒がしく、多様で、自由な公共空間。持続可能性への揺るぎないコミットメント。

不安定な世界において、長期的関係を重んじ、築く、安定した信頼できるパートナーです。

さらにカナダには、今何が起きているのかを理解し、それに応じて行動する決意があります。

この断絶は、単なる適応以上のものを要求しています。世界をあるがままに見る誠実さです。

私たちは看板を外します。

旧秩序は戻りません。嘆くべきではありません。ノスタルジアは戦略ではありません。

しかし、この断裂から、より良く、より強く、より公正なものを築くことはできます。

それこそが、要塞化した世界から最も大きな損失を被り、真の協力の世界から最も大きな利益を得る、ミドルパワーの使命です。

強者には強者の力があります。しかし、私たちにも力があります。見せかけをやめ、現実を名指しし、国内で力を蓄え、共に行動する力です。

それがカナダの道です。私たちはそれを公然と、自信をもって選びます。

そしてこの道は、共に歩む意思のあるすべての国に開かれています。

 

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2026.01.19

「ウォーフェア 戦地最前線」

https://a24jp.com/films/warfare/

案外あっさりした作りだった。ドキュメンタリーに近い感触。
激昂する人間もいないし、べたついた人間ドラマもなく、お涙頂戴場面もない。

淡々と、市街地のゲリラ戦のような待機と準備と戦闘がある。語弊があるかもしれないが、戦争というともっと激烈なものという印象があったけれど、少し違っていた。淡々とただ爆発が起き人体がひとつ四散する。

現代の戦争/戦闘が情報戦だということはよくわかった。米軍は常に空から現場を監視し奇襲を防ぐ。常に連絡を取りあい有利な陣形を取る。情勢に応じて空から必要な支援がある。

無敵の戦術のように見えるけれど、随分杜撰に見えるところもあった。そもそも隠密の狙撃作戦だったはずが、夜中にハンマーで壁を叩き壊して大きな音を立てるなど考えられないし(他の出入り口があるだろうに)、民家の働き手が仕事に来なければ、あるいは子供が学校に来なければ、外部から何か連絡があるだろうに、作戦がそれを考慮しているとは見えなかった。そもそも、朝になってもこの住宅だけ人気が感じられない時点で、周辺住民は不審に思うだろう。

現場の兵士は何も知らされずに命令通りに動くだけであることが、こうした杜撰さの原因なのかもしれない、などと思ったりもする。

ウクライナ関連で時折耳にする歩兵戦闘車というものは初めて見た。小型の戦車のようなもので、攻撃よりも歩兵の安全な移動に重点を置いているようだ。それでも小火器に対しては圧倒的な火力を持っていて、撤退時にはその力を見せつけて幕をおろした。砲撃された民家の壁が傷一つなく煤で汚れただけというのは、まあ映画だし、御愛嬌だろう。

本作が描いているのは2006年時点のことだそうだから、既に20年も昔の光景ということになる。ウクライナでは戦争の新たな形態が開発されているそうだから、今の戦地最前線はまた違った景色になっているのだろうか。

それにしても人間とは懲りずに愚行を繰り返す生き物だという感想だけでした。

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2026.01.02

「ヴァイキング ~ヴァルハラ~」

https://www.netflix.com/title/81149450

オリジナルの「ヴァイキング 〜海の覇者たち」は前半のラグナル・ロズブロークの活躍あたりがたいへん面白い歴史伝奇ドラマだった。

前作がアルフレッド大王の少年時代の頃までを描いていたのを受けて、本作はその100年ほど後の時代、デーン人で正式なイングランド王となったクヌート王の治世あたりを取り上げている。

本作にも様々な個性的なキャラクタが登場するけれど、私としてはやはりクヌート王とその后エマ、参謀のゴドウィンが印象に残った。このクヌート王はなかなかの傑物として描かれている。内紛を繰り返すイングランドの諸侯たちを治めるには、軍事力、統率力、知略、思慮深さ、胆力など諸々を兼ね備えたこういう人間が必要だったのだろう。優れた統治者とはどういうものかがよく描き出されている。ちなみに、ドラマの中で登場する彼の父親は、クヌートに輪を掛けた豪胆で思慮深い人間で、私のお気に入りだ。

もっともドラマとしての焦点はむしろ、キリスト教と北欧土着宗教との鍔迫り合いや、デーン人たちの因縁と内紛、後にノルウエー王となるハーラルの貴種流浪譚の方にあるようで、まあよくある荒唐無稽な冒険譚になっている。

本作には、キリスト教圏、異端者圏、デーン人、アングロ・サクソン、サラセン人など様々な集団が登場するが、どの集団であれ、比較的自由な考えの者もいれば、旧弊に凝り固まった者もあり、その善悪は彼らが属する集団の特質とは必ずしも一致しないように描かれている。むしろ、キリスト教を支配の道具に使おうとする者たちの邪悪さが目立っていた。その辺りはグローバリズムの良い影響なのだろうか。

実在、架空それぞれの登場人物が入り乱れて、面白い歴史絵巻でした。
3シーズン完結なのも、長すぎなくてよかった。

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2025.12.31

2025年に見た映像作品のわたくし的ベスト10+1(見た順)

アニメを多く見て大作良作も多かったけど、振り返ってみるとベストと思える作品は案外実写が多いのであった・・

「アンデッド/愛しき者の不在」
「死に損なった男」
「Away」「Flow」
「教皇選挙」
「罪人たち」
「入国審査」
「遠い山なみの光」
「ワン・バトル・アフター・アナザー」
「爆弾」
「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」
「羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来」

ちなみに次点はこんな感じ
「敵」
「仕掛人・藤枝梅安」
「アノーラ」
「ナタ 魔童の大暴れ」
「SISU/シス 不死身の男」
「ガール・ウィズ・ニードル」
「国宝」
「28年後...」
「愛はステロイド」
「海辺へ行く道」
「トリツカレ男」
「WEAPONS」
「佐藤さんと佐藤さん」
「ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン」

 

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