2017.01.15

「イット・フォローズ」

これは・・・むやみに知らない人とナニすると怖い目にあうぞとティーンエイジャーを脅すための都市伝説なんじゃないでしょうか(⌒-⌒; ナニをすると他人に移せて、移すとゆっくりした足取りで真っすぐ追ってくる憑依霊って、性病の暗喩としか思えません。

結局、このモンスターの正体はわからず仕舞い。脅威ではあるけど恐怖という感じでもなく、撃退できたとも思えず。なんだったのでしょうねこの映画は。

一応、観ているうちに対処方法は思いついたから暇にあかせて書いておくと、なんでもいいから布でからめとって、行動できないようにガムテープか紐で縛り上げる。目には見えないけれど実体はあるのだから、まずは可視化することが肝要。そのあとは、警察でも科学者でも呼んで分析してもらえばよい。

昨年の見逃し映画ということで行ったけど、ちょっといまいちだった。

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「MERU」

登山家のドキュメンタリー映画は、いつも清々しい。それは、彼らがいつも淡々と命を懸けているからだ。

その命懸けには、しかし無謀さは微塵もない。冷静に計画し、周到に準備し、怠らす技術を磨き、最高にコンディションを高めて、チャレンジする。だからこそ生き残って結果を出せる。

それでも、天運というものはあって、危険に近づく以上は命を落とす者もいる。そこに、技量の差はおそらくない。ただ運があるだけだ。

生き残った者は、なぜあのとき、自分が助かって、師が、友が、死んだのか、自責の念を背負うことになる。

この映画は、そういうことはおくびにも出さずに、しかし死者が遺した家族を引き受けて、なお、命懸けの偉業に挑み続ける男の姿がある。

鳥肌が立つほど清々しい。
しかも、映像が美しい。
俳優を使った作り物の作品にはない美しさがある。

あまり客が入っていないけれど、これも観る値打ちのある一本。

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「TSUKIJI WONDERLAND」

魚食文化と、それを支える職人達を活写した、価値ある映画。豊洲への移転問題でもめにもめている築地だが、移るにせよ留まるにせよ、この文化は引き継いでほしいという気にさせる熱量がある。

ここに描かれる魚流通の終点となる高級料理店には、全く縁がないけれど、そういうフィッシュ&チップスしか知らない程度の私でも、心底そう思う。

その文化の魅力は、なかなか一言で言い表しがたいけれど、魚の生食を可能にする、人々の間の信頼の繋がりと、魚や料理や季節や調理方法の多様性は、筆頭に挙げられるだろうか。

流通のどの段階でも、客が求めるものを細かく把握して、季節ごとに最適なものを、情報とともに提供する機能は、中間流通が持つ付加価値の粋と言えるだろう。

規格品の流通であれば、中間流通というものは、中抜きすればするほど社会全体にとって利益がある。近代化というプロセスはそれをゆめ疑わずに押し進めてきたものでもあったろう。

しかし、そればかり見て育った我々は、ついには全てのものを規格化しなければ気が済まないという病に、取り憑かれていないだろうか。

同じ魚種でも、個々に顔も姿も脂の乗り具合も異なる魚たちを、きちんと見分けて値付けし、料理人の日々変化する要求に合わせて取引していく仲卸達を見ていると、人間まで試験と資格によって規格化しようとする近代社会と、その中で生きている自分に、自ずと疑問が湧いてくる。それが、この文化が引き継がれてほしいという願いに繋がっていく。

世界に唯一とまで言われるこの文化を失いたくない。そういう思いに駆られる一本でした。

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2017.01.08

「NERVE」

最初にインターネットが映画の材料になったのは「ユー・ガット・メール」あたりだろうか。その頃は、夢と希望にあふれた未来のツールという捉え方だった。新しいコミュニケーションツールの出現に、誰もが期待を膨らませていた。

時は流れて、本作でのネットは、匿名の怖さの増幅装置ということになっている。ネットの向こうの見えない大多数は、リアルで会うことのない、それゆえに抑制の効かない不道徳の雲だ。

ネットが普通のものになってみれば、実際にはまあ、そんなに極端なものでもない。悪いところも良いところもある。ただリアルより接点が多いというだけのことだ。


本作ではむしろ、大衆の欲望の危険性の方に目を向けたい。「ハンガー・ゲーム」と同じ。

プレイヤー/ウォッチャーのような選別を迫って善人を焚きつけておいて、その破滅をみんなで眺めて楽しむ、という、よからぬ趣向だ。勝者が1人しかいないルールのもとでは、大多数のプレイヤーが破滅せざるを得ない。そうとわかっていて見て見ぬふりをする視聴者というものの悪意がよく出ている。

最後はプレイヤー側の作戦勝ちでハッピーエンドに収めているけれど、危ういことだという印象は消えない。

妙にリアルな感じがあって尾を引きそう。

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「アンダーワールド ブラッドウォーズ」

「アンダーワールド」シリーズは、どういう映画であるとかお話はどうとかはどうでもいいの。ただただケイト・ベッキンセイル様のご尊顔を拝するためにのみ行くの。

なにしろ本作は公式サイトさえ検索でひっかからないというくらい、興行側も映画なんかどうでもよくてケイト様だけ見に来い感がひしひしと迫ってくるんですからね。

そんな供給側の不真面目な態度にも関わらずこれがシリーズとして続いているのは、やっぱりケイト様の存在が大きいわけですよ。そのあたりの事情はこちらをご参照あれ。
http://wwptalk.hatenablog.com/entry/2016/09/10/235142
「セリーネが登場する度に、観客は言い知れぬ興奮と期待が交わった、ハイな気分に酔いしれたのです。それはあたかも、ゾンビの集団に襲われる半裸の美女が、すんでのところで助けられる状況に似ています。
セリーネは強くて冷静ですが、「バイオハザード」のアリスほどに完璧ではありません。そこがまた、変態チックな野郎共にはたまらなかったのでしょうね。」

うるさいわ!

さて、ケイト・ベッキンセイル様。御年43歳。やや年齢を感じさせるものの相変わらずの美形。wikipediaによれば、少し東洋の血も入っているとか。ミラ・ジョヴォヴィッチ様に比べて親しみが湧くのは、そういう理由もあるのかも。

そしてスクリーンに映るシャープなシルエット。第1作からほとんど変わらず。これはちょっと他の女優さんには真似できない。

よいなー。かっこいいわ。
これでお話では殺戮鬼であるわけだから、そりゃ観客がM呼ばわりされても、まあ仕方がない。

このシリーズは、セリーンの美貌とスレンダーなシルエットを見せるカットが随所にちりばめられている。本作でも、冒頭の振り返りの中で、はっとするような印象的なカットがある。

そういうところに、作り手側の旦那の愛が込められているのを感じたりもする。これはバイオハザードでも同じ。他の似たような映画との違いを聞かれれば、そこが違うとワタクシは思うわけです。

バイオ・ハザードの方は遂に完結してしまったけど、こちらの方はまだまだ続く予感。今回、解脱してしまったセリーンは最強無敵ぶりに拍車がかかったようだけど、次はさらなる強敵の出現を期待したい。

まさか、娘と戦ったりしないよね?

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2017.01.02

「人生フルーツ」

これ正月から超満員。
映画もいい出来で大満足。
製作者の話も面白く聞けて言うこと無し。

東海テレビいいじゃない。


と、速報だけ流しておいて、
落ち着いてコーヒー飲みながら短い感想を。

このご夫婦は、何十年もこれを実践しているという点で凄い。
私は庭付き戸建ての庭木の手入れや家の掃除に音を上げて、集合住宅に移り住んだクチなので、これの凄さは身に染みてわかる。

一方、凄いということは、他人にはなかなか真似が難しいということでもある。ここに描かれている生活は、点景としては成立するけれど、ほとんどの都市住民にとっては無理な話。雑木林を持った300坪の敷地、住人はリタイアしたエリートでそこそこの年金暮らし、というだけで、無理がはっきり見えるだろう。

それは、彼らが住まう住宅団地が、理想の計画とはおよそ異なる形になっていった点を見ても明らかだ。経済条件は無視できない大前提であって、いち建築家がどうあがいても簡単には解決しない。都市計画家のように全体を俯瞰する立場であっても、それは無理だろう。与条件は割とはっきり決まっていて、ここで仮に理想を実現できたとしても、その歪が別の地区での開発にしわ寄せされるだけのことなのだ。

ひとつの救いは、これから人口の激減が始まる、というくらいだろうか。それをどう「乗り切る」ではなくて、どう「活用」できるかが、次の世代の悩みどころ、ということになる。

悩みがあるっていいことだ。
解決のために頭と手足を目一杯使うことこそ、この映画が描く理想の生き方なのだから。

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2016.12.31

「この世界の片隅に」

ここまで感想を書けずにずっと引っ張ってきて、でも今年中には書いておかないと年が越せないと思い立ち、仕方なく書いてみる。

この映画の良さはうまく言葉にするのが難しくて、言葉にしたとたんに良さが逃げる感じがする。なので、短く。


幸せというものは、日々の暮らしのディテールに宿る。
すずさんは、それを見つける才能に恵まれた人だった。

その影響を周囲の人も受けているのがわかっていたから、
家事がうまくできなくなってからも、
「いつまでもいていいんだよ」ということが自然に言えた。

そんなすずさんにも、戦争で失ったものの大きさは少々堪えた。
「暴力っ」という台詞に、政治的な色を感じ取るのは誤りだ。

幸せを見つける達人でさえ、そう絞り出すように言うしかない
理不尽と喪失感の大きさを、見る側は感じ取る。
それが正しい見方だろう。

パンドラの地獄の蓋が開け放たれた後に、
どん底で拾った、最後のものを、懸命に磨き続けることで、
喪失感は徐々に癒されて、
元通りにはならなくても、なんとか明るく生きていける。

その過程は、エンディングと一緒に早回しのように流れて、
懸命に生きているときの時間の流れの速さを教えているようだ。

どうも上手く言えないが、
これ、素晴らしい作品ですね。

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「山の郵便配達」

本年最後に見たのが、最高の映画でした。

はた目には一見単純作業のように見える仕事にも、実は繊細なディテールがあることがあって、それを実践すること、伝えていくことは大切なのだ、ということが切々と伝わってくる。

生活と家業が未分化な懐かしい時代の温もりがここにある。


もちろん、息子が言うように、郵便を運ぶだけならバスで運んだ方がよほど効率がよいかもしれないし、変えていくべきところがあるのかもしれない。ものを作ったり運んだり、金儲けしたりというだけなら、確かにそうだ。

しかし、人と人とのつながりについては、効率一辺倒では壊れてしまうものが多くある。足で歩かなければ気付かずに通り過ぎてしまうようなものごとが、この作品にはたくさん描かれている。

旅を通じて息子がそれを理解し、父の後を継いで歩き始めるのが、観ている方としては嬉しいような切ないような、複雑な気持ちになる。

名作です。

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2016.12.30

「ピートと秘密の友達」

森に棲む心優しいはぐれドラゴンと少年の交感。
少年を発見して連れ戻した人間社会との軋轢。

心無い大人たちによるドラゴンの捕獲と
少年とその友達によるドラゴンの解放。

絵に描いたような定型のお話だが、ここはディズニーの得意分野。手堅くまとまっている。

子どもの情操教育にとてもよさそうな一本。実際、客席には小さい子連れの家族が多かった。


ちょっと面白かったのは、幕間の新作の広告に、子どもが逐一反応していたこと。
ドラえもんがでてくると、「これ見たい」
美女と野獣が出てくると、「これ絶対見たい」

美女と野獣なんて、エマワトソンのインタビュー映像なんだけど、わかるのかな。他で情報仕入れているんだろうか。

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「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」

これは血圧上がるわー。

ど派手な色彩と構図の映像、激しいアクション、ノリのいい音楽、そして戦闘シーンの爆音がこれでもかのオンパレード。これ、ミュージカルの舞台なんかの数倍刺激が強い。知らず知らずに頭に血が上るようにできてる。

フィニッシュはなんと、Game Clear でずよ。悪役はクリアされちまってたまらんな(笑)。そこに悲哀はない。徹底的にない。悪、滅ぶべし。

貯まったマイルで1か月フリーパスを入手したので、いつもなら見ないような映画も見るわけだけど。これはなー。映画として味わうというより、いまどきの子供たちを、作り手のマーケティング視点を借りて見る、ということにどうしてもなる。

で、気が付いたのは、高齢者の不在。確か昭和のライダーには、後見人的なおっさんがついていた。例の喫茶店のマスターだ。
でも平成ライダーにはそれがない。おっさんといえば、悪の親玉と、なんか偉い人、敬して遠ざけるという感じ。
彼らが頼るのは、同じ年代か少し上のお兄さんたち。そのお兄さんも、謀略に長けていたり、ニヒルだったり。そういうところに大人を感じるのが、いまの子供たち、ということだろうか。登場人物の類型化が進んでいるということなのか。

星飛雄馬の時代とは違うのですよ。
同じなのは、精神論が全て、という点くらい。気持ちの盛り上げが鍵、それで勝てると思っている。進歩しないなワシらは。

まあ、2時間見ていて、疲れました。やっぱりおっさんにはこの刺激はちょっときついですわ。

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