2017.11.19

「ゴッホ 最期の手紙」

こ、この二次元クレイアニメとでも言うべき手法は一体・・・
誰ですかねこんなこと思いついたのは。

見慣れない手法なので、スクリーンに集中していると、なぜか途中睡魔が襲ってきました。眩暈のようなものだったのかもしれませんが。

慣れてくると、だんだんストーリーを読み取れるようになってきて、最後は割と感動ものです。ゴッホに対する印象がずいぶん変わりました。

ティーンの頃は、芸術家の中ではこの人とミケランジェロは間違いなく天才だろうと思っていたけれど、ミケはともかくゴッホの方は、狂的なところが目についていただけだったように記憶しています。

この作品も、始めのうちこそ狂的な部分を取り上げているのですが、次第に彼の、常識的で人間的な部分をクローズアップしていって、なぜ彼が唐突とも思える死を選んだかを解き明かします。一直線ではない構成で飽きさせません。

物語はすべて、ゴッホの作品群のレプリカ、それも動く!で構成されているのですが、要所ではまさに、映画の作り手が言いたいことにふさわしい絵が使われていて、たいへん効果的です。

映画の手法なんて出尽くしているのかと思いましたが、あるものなんですねえ、まだ新しい試みが。

美術史の中で、ゴッホの死がどう読み取られているのかは知りませんが、この映画による解釈はとても心に残ります。

いい作品がまたひとつ。

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2017.11.18

「ローガン・ラッキー」

フリーパス発動で手あたり次第に見るわけです。さすがにこれははずれだろうと思って見てみたら、案外そうでもなかった。

なんだか杜撰そうに見えた現金強奪計画だが、計画の進行につれて明らかになってくる周到な目配りが、ストーリーの伏線回収の形で次々に明かされてくる、その痛快感がいい。

必須メンバーである爆弾野郎を脱獄させて元に戻すプロセスの精工さといったら!監獄の所長の気質と出方まで読んでいるのだ。

これに、主犯格の兄弟それぞれのアリバイ作りに絡めた、カントリーロード的な暮らしへの賛歌などあって、グッときます。

痛快といっても、必ずしも計画どおりに進まないドタバタもあって、そのちょっと間抜けな感じがまたよい。

そして数ある仕掛けの中でも最後で最大のもの、保険会社を使った被害者の被害帳消しの手法が鮮やか。FBIもこれにはお手上げです。徹底的に勝ちにいって骨の髄までしゃぶった挙句敵を本気にさせてしまうような愚劣さの代わりに、鷹揚で大人なバランス感覚があります。

田舎暮らしの冴えない労働者が、エスタブリッシュに一泡吹かせるも、やり過ぎずにコトを収めて、平穏で余裕のある理想的な暮らしを手に入れます。ローガンズカーストがローガンラッキーに変わる夢物語。ナイスです。

で、最後のヒラリースワンクがやばいだろう。これはラッキーが剥がれ落ちて再びカーストに逆戻り必至かw

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2017.11.17

「GODZILLA 怪獣惑星」

えーゴジラはやっぱり実写特撮でしょ。アニメはなんだかなー
と思っていたけど、意外によかったりする。
丁寧に、重量感が出るように描いていて、かなり成功してると思う。

そして絵もさりながら、何より設定が面白い。霊長類は地球人類だけじゃないどころか、ゴジラに追い払われて一緒にひとつ船で暗黒の宇宙をさまよっているのだ。しかもそれが、ゴジラ的なる共通の何かに起因しているらしい。これはなんだか話にケリが着くまで見続けさせられそう。

そう。話はこれで終わらないのです。

設定に比べて話の進み方は単純で直線的だったから、はじめからそういうことだったのだろうけど。

勘弁してよー。
そんなにあれもこれも見る時間ないよー。

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2017.11.15

「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」

”それ” が見えてからが、ストーリーの本番

ホラーの味付けだけれど、中身は、幼年期から青年期に移り変わっていくときの、苦くて甘酸っぱく、そして切ないお話。

取り返しのつかないこと、それを飲み込んで前を向くことを学ぶ時期でもある。

恐怖に打ち克つ感情は怒り。
群像劇の登場人物は、それぞれの恐怖を怒りの力で乗り越えていく。

だけれど、リーダー格の彼は、恐怖を別の感情で乗り越える。そこが彼を冷静だが熱いリーダーたらしめているところであり、本作を下品なホラーではなく、味のある作品にしていると言える。

恐怖を乗り越えたものの、必ずしもいい方向を向くとは限らないことをきちんと取り上げているのも評価できる。怒りと似て非なる憎悪。第2章があるとすれば、その辺りだろうか。

ホラーをあまり見ない私でも、これはいいなと思える一本。

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2017.11.11

「バリー・シール」

冷戦時代のバブリーなお話とその末路。

自由に生きているようで、実はどんどん拘束が強まっていく。
金とか富にはそういうところがあるのかもね。

だいたいそういうと特異点には、良からぬ人間が大勢集まってくるものだし。

判事はそれがわかっていたから、社会奉仕だけで事実上の無罪にしたのだろう。この男の始末に無駄な司法コストを掛けなくても、別の手が動いてカタを付けてくれると。

まあ、そんな感じ。
冒険も種類を選ばないと。

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2017.11.10

「ザ・サークル」

少し以前は、匿名のネット空間で、名前を隠した大衆が常識を逸脱して暴走する恐怖が、映画のテーマとしては面白かった。「NERVE」とかね。

広大なネットに個人の人格を移植してとかいう荒唐無稽な話と違って、匿名の雲に隠れた群衆というのは現実の脅威ですから。

対して本作は、実名でなんでも無邪気に晒してしまう人について、同じく名前を隠した大衆が、常識を逸脱して暴走する恐怖が描かれている。

元凶はいずれも同じ、暴走するのは名前を隠した大衆ということで。そこはあんまり変わっていない。ということで目新しい点はありません。

いや、ひとつあった。

不幸な事故が起きた後、それでも主人公は、意を決してネットに繋がり、そこにたくさんの励ましを見つけるのだ。それに勇気づけられて、ある対応策を考えて実行に移すのだけれど、そこはまあ見てのお楽しみ。

一応のケリをつけた後、最後に主人公は、これも新しい現実として受け入れているようだ。多少疲れた顔に、それでも微笑みを浮かべながら。

なんでもインナーサークルで処理されていた時代に戻るよりは、いろいろ軋轢はあっても、基本はオープンな方がいい、と言っているように、私には思えました。

エマ・ワトソン、いい役に当たったな、という感じ。

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2017.11.05

「婚約者の友人」

戦争で婚約者を失った女性の前に、彼の友人を名乗る男が現れます。生前の男どうしの友情や思い出話に心打たれ、一人息子を亡くした両親の心も癒す人柄に惹かれ、ほのかに恋心が芽生えます。

なんて美しいお話でしょう。

でも、そうじゃないんです。
フランソワ・オゾンですよ。それで終わるわけがなかった。

後半は、衝撃の告白から絶望。帰郷した彼を追って今度は、女性の方が、かつての敵対国を旅します。彼の男が来たときの道を逆向きになぞるように。

辿り着いたその男の故郷で、彼女の希望はどんな迎えられ方をするのでしょうか。

主人公の女性の忍耐強さ、義理の両親に対する強すぎる気遣い、自分を押し殺して周囲の和を優先する行動様式、抑えた中にも激しく動く心情、そういったものは、現実に生きる我々には馴染深いものに見えます。

対置されるのは、来訪者の男の神経質なほどの感情の揺れや、後になってわかる恵まれた境遇などです。

分かってみれば、身分違いの恋でしかなかったのですが、やるせない。
我々はそれを、やるせない、と表現することを知っていますが、この監督は、最後のカットでそれを表現しています。私はあまり好きにはなれません。

でも現実ってそういうものかもしれないなとも思いました。

だからこそ、我々はそこを、見苦しくないように、やるせない、と言ってやり過ごそうとするわけですが。

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2017.11.03

「マイティー・ソー バトルロイヤル」

上野の新しいTOHOで掛かってて、席数はそんなに多くないけどスクリーンは十分大きいし音響もよくて、さすが新築。日本橋とこっちと、空いている方を使い分けることになりそう。

映画の方はまあ、ドッカーンバッカーンでああ面白かったー。

ていう感じで。
浅野忠信も出番あったし。

まあ時々こういうのいいよね。
変な姉に困らされているのは大いに同情するところがあるし。
変な弟に加えてもう一枚かー。能天気なキャラじゃなきゃ続かないな。

決め台詞「お前は何の神だ?」っていう前後は、ちゃんとポイント押さえてて、さすがディズニー。

それにしても最後は放浪の民って・・それは何のメタファーかな?w


次はえっと・・ブラックパンサー見ないといけないのかどうか誰か教えて。

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2017.11.01

「アトミック・ブロンド」

折角のついたち映画の日を無駄にしたくなくて、仕事後の時間にもやっていた唯一のプログラムがこれ。@北の大地

予告編はアクションシーンがほとんどだったけど、実際にはむしろ騙し合いのオセロゲームを見る推理小説のような趣。そういうことはならシャーリーズセロンで納得がいく。ちなみにソフィア・ブテラさんは、アクションの見せ場はありません。別の見せ場が・・以下略。

お話は、観客側でいろいろ憶測をつないでいかないとわからないところが多くて少しきつい。そもそも、諜報機関の一室で職員を尋問する中で、回想として語られるという作りが、警戒感を呼び覚ます。これは最後に作り手の罠が待っているパターンでしょ。

背景は壁崩壊直前のベルリンで、スマホとか一切登場しない。もちろんネットもないから、関係者が奪い合うのは、スパイの個人情報が載っているフィルム。かなり違和感が濃い。

ということで、最後の最後まで少しまだるっこしい進行を、過激な格闘シーンでつなぎながら手掛かりをばら撒いて、残り10分でぱたぱたと種明かしする展開に。まあ、良くも悪くもない感じでした。

しっかしソフィア・ブテラと並ぶとシャーリーズ・セロンの過激な8等身が際立ちます。

このあとジェニファー・ローレンス主演のスパイ映画もあるみたいで、女スパイは流行なんですかね。

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2017.10.28

「ゲット・アウト」

いやーなんでしょうかねこの映画は。

アフリカ系への差別を描く問題作かと思わせておいて、実は単なるオカルト映画だったという。

まあいいんですけどね。

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